尾﨑正直県知事は1月23日の定例記者会見で衆議院の選挙制度、定数削減について発言し、安易な削減を批判し、根本的な制度改革を求めました。発言要旨を紹介します。
「0増5減」案
尾﨑知事 「0増5減」は、いわゆる1票の格差についてどう考えるか、税制改正論議と表裏一体として議論されようとしているのが比例80減という問題だろう。
1票の格差については、最高裁判決を重く受け止めて対応しなければならないが、人口がどんどん減少している地域において、民意をどうやって反映していくのか、そのシステムをよくよく考えてもらいたい。
「0増5減」は取りあえずの対応という印象を拭い得ない。選挙制度全体としてどうすべきなのかという議論をしっかりと始めていくということが必要ではないか。
解散の問題などもあって、取りあえずの対応と本格的対応という二段階に分けていかざるを得ないのかもしれないが、「取りあえず人口が少ないところから減らしておけばいいや」ということでは済まない。また別の問題が出てくるということを配慮してほしい。
比例80削減
尾﨑知事 比例定数80削減は、恐らく「国会議員自らが身を切ることも必要」という議論だと思ううが、比例80減で、「0増5減」になると四国の国会議員は5人減る。19人が14人になる。身を切る努力は確かに必要だが、これだけ人数が減って、特に比例で減って少数の民意の反映ができなくなるとどうなるか。民主主義の有り様としてこれでいいのかという議論も出てくる。
身を切る努力は、単に定数を減らすだけでなく、給与で対応するとか、いろんなやり方がある。民意を反映するためにどうあるべきなのかという、選挙制度全体のトータルパッケージとして考えて、取りあえずの議論と本格的な議論を区別して議論してほしい。
人口割りという発想と地域代表、アメリカの下院、上院に似ている考え方かもしれないが、そういうところを是非議論していただきたい。
人口割りの議論も、平等という観点から必要なところはあるだろうが、一定の行政単位の代表の意見をしっかり声を上げてもらわないといけないというところもある。
アメリカの上院は、基本的に州によって定数が割り振られている。ああいう発想もあるのではないか。参議院の議論でも、人口割りの議論になって合区と言ったりしているが、大丈夫かなと思う。人口が減っているところは益々声が小さくなる。しかし、人口が減って高齢化が進んでいるところこそ、今後日本全体が行く道なわけで、こういうところで何をやっているのかの意見をよく反映してやっていくということも必要だ。単純な人口割りだけで済まない側面を配慮した改革も是非考えていただきたい。
小選挙区も、首相公選制も選挙制度には、必ず一長一短がある。選挙制度全体について、特に国会議員について、どうあるべきという答えは持ち合わせていないが、今、言った論点の議論を積み重ねてもらいたい。
合区について
尾﨑知事 参議院議を徳島県と高知県で合区にすることは妥当とは思わない。明らかに抱えている課題というのは違うわけで、それぞれの県で抱えている課題に対応して、代表する議員も必要だろうと思う。
1票の格差は、ものすごく大事な観点だが、一方で地域の実情を踏まえた選挙制度。地域の実情を踏まえた政治体制であるべきということも、一人一人の人権を守るために大事。参議院の合区など大反対だ。(2012年2月5日 高知民報) |