高校授業料無償化は、経済的問題で高校教育から排除されることがない社会への重要な第一歩となりました。しかし、現実には公立高校でも通学費、制服、教科書、模擬テスト、空調費など多額の出費があることから、保護者の負担を軽減するため、独自に給付型の奨学金をつくる自治体の努力が始まっています。
香美市高等学校等奨学金 生活保護基準の1・5倍以下、非課税などの世帯の子どもが高校、大学等に進学する場合(市県外でも可)に、月額10000円(高校)、13000円(高専の4・5年、短大、大学)を給付するもので、成績による制限はなし。給付の可否は年度ごとに判断。予算内(23年度は378万円)で収入が低い世帯を優先。
土佐市人づくり奨学金(平成23度からスタート) 生活保護基準の1・5倍以下、非課税などの世帯の子どもが高校、特別支援学校高等部、高専、専修学校、短大、大学、大学院に進学する場合に(市県外でも可)、月額10000円を卒業時まで18人に給付するもの。成績4・0以上の条件あり。予算216万円。
※24年度からの改善点 入学時だけしか受給対象にならなかったのを途中からも可能に、成績を「4以上」から「おおむね4以上」に緩和。960万円(80人分)へと大幅な予算増を教育委員会が要求。
これらの給付型奨学金は、地元学校への通学を条件にすることはしておらず、純粋に家計の教育費を支えようというもので、収入基準も幅広い市民が使えるものになっています。
高知県教育委員会は24年度予算要求で給付型奨学金事業費、約5900万円を計上しました。ただ、これは文部科学省が財務省に要求している予算要求額を、ほぼそのまま載せているだけで、県教委の独自性はありません(財務省が認めなければなくなる)。
県教委も、これらの自治体の努力に学んで、経済的な問題学びが阻害されることのない社会にむけた方策を具体的に考えて行く時です。給付型奨学金の創設と改善を土佐市議会で強く求めてきたは大森陽子議員は「貸与ではこの就職難の時代に返せなくなる心配がある。金額は少なくても給付が大事だと訴えてきました。市長や教育委員会もこれに応えてくれ、24年度から大幅に予算を増やし改善されていることは評価できる」
と話しています。(2012年1月22日 高知民報) |