2011年12月18日

高知短大の役割終わっていない 「存続を求める会」

記者会見で高知短大存続を訴える在学生たち(12月9日)
高知県公立大学法人の南裕子理事長が夜間2年制短大の県立高知短期大学を平成27年から廃止する方針を尾ア正直県知事に報告したことを受けて、高知短期大学の存続を求める会(小松佐智男代表)、高知短期大学の存続を求める学生の会(杉本育己代表)は12月9日、記者会見して短大の存続活動に取り組むことを発表しました。

会見では小松代表が「突然の廃止方針に驚いている。きびしい仕事の実態の中、学費の安い短大への県民ニーズはある。4年制だけで良いという状況ではない。58年間続き、6000人の卒業生を出した高知短大は貴重な県民の財産であり、県はこれを守り発展させていく責務がある」と発言。

長時間労働が蔓延する中で1時限目(18時)に間に合わせることは難しいために、2時限(19時40分)を中心に2年課程を4年間で学び、授業料は2年分で済む「長期履修制度」を使う学生が多い実状を紹介し、短大を存続させる意義を強調しました。

アルバイトで自ら学費を払っている女子学生(2回生、20歳)は「家の事情で4年制は無理。奨学金は就職難で返せなくなるのが怖くてあきらめた。短大の授業料(年間26万円)なら自分で何とか払える。昼はアイスクリームショップ、深夜はカラオケボックスでバイトをしている。

愛媛県出身の2回生の女子学生(21歳)は「夜間4年制で長期履修制度を使い8年も通学するのは考えられない。大学が最終目標ではない。就職して結婚し、家庭も持ちたいのに何歳になってしまうのか。3〜4年先ならまだ前が見え、何とか頑張れる」と話しました。

高知県公立大学法人理事長である南裕子・高知県立大学及び高知短期大学学長は12月7日、尾ア正直県知事を訪問し、文化学部拡充、短大廃止、地域教育研究センター(仮称)を設立(24年度から)する方針を理事会が承認したことを報告しました。

南理事長は「短期大学をただ閉じるのではなく、社会人が働きながら学ぶという重要な役割を文化学部を中心に、県立大全体でどんと受け止め、発展させていく」と述べ、知事は「大学進学の門戸を県内に開いていく方向性は大いに賛成。県として県議会や県民の声をよく聞き、最終決定したい。社会に出てからも学べる場をひろげてほしい」と答えました。

法人側の決定は27年度に短大募集停止、文化学部定員を80人から150人に増やし、法、地域、観光の領域拡大、昼夜開講、土日開講、長期履修制度、社会人特別入試などの導入を検討。これを看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部にも拡大する。また24年度から地域教育研究センターを設置して、生涯学習、キャリア支援の場にしていくとしています。(2011年12月18日 高知民報)