2011年11月20日

大型事業偏重か生活重視か 政策の違い浮き彫り 高知市長選 JC高知討論会  岡崎市長「ゴミ有料化必要」

11月10日、RKCホール
11月27日に投票される高知市市長選挙に立候補を予定してる日本共産党公認の新人・迫哲郎氏、自民・公明・民主などに推された現職の岡崎誠也氏が、政策をたたかわせる「2011高知市長選挙公開討論会」が11月10日、高知市のRKCホールで開かれました。高知青年会議所の主催。

討論会では迫、岡崎両氏が、主催者側から提起された原発・震災対策、少子化、雇用、市の財政などについての設問に○×で回答し、双方が意見を交わし討論しました(回答一覧は別項)。

この中で岡崎氏は、昨年3月に議会で否決された家庭ゴミ有料化について、「減量化のためにはゴミ袋の有料化は有効な手段だという考えは変わっていない」と、引き続き有料化を狙っていることを明らかにしました。

迫氏は「ゴミ有料化は高知市の歴史を踏みにじるものであり、やってはならない」と反論し、子育て環境については「高知市は第3子の保育料無料化を県下で唯一実施していない。県下で一番子育てがしにくい自治体になっている。保育料第3子無料化の実施、医療費助成を就学援助を受ける小学生にまで広げることは、2億円あればできる。四国の他の県都が100%実施している中学校給食実施は急がれる」と主張。

岡崎氏は「高知市は子どもの数が多くかなり経費がかかる。国がやるべき」などと述べるにとどまり、迫氏は「国の支援を求めるのは賛成だが、他の市町村より遅れている現状は、高知市の責任で底上げしなければならない。どの子も能力を発揮できる条件整備は大人の責任だ」と指摘しました。

財政危機の要因は? 

   
 岡崎誠也氏  迫哲郎氏
   
公開討論会で高知市の財政状況について以下のような討論が交わされました。

岡崎 財政危機では大変な心配をかけた。一番状況が悪い時には、財政状況の説明と増税をやらざるをえない場合もあるという説明したが、まず行財政改革、内部努力が先という指摘を受け、内部改革をすすめてきた。おかげさまで、この3年間、集中的に行財政改革をしたので、あと1年でほぼ再建できるところまでこぎつけている。

職員数は平成20年の3133人から400人減らした。財政再建に非常に効果があり、人件費は1年間で30億円以上減っている。3年で100億円以上の効果があり、財政再建に有効。こういう財源を防災対策に振り向けていく。 

地方債の借り入れ残高が他都市より非常に多かったという問題があるが、これも集中的に返しており、20年度から3年間で400億円、単年度では100億円から130億円元金を減らしている。25年までに750億円残高を減らすという目標まであと一歩。財政再建に有効に寄与しており、今後の財政破綻はありえない。夕張のような破綻はもうない。心配はいらない。

 高知市の財政危機は全国的な事情だけでなく200億円かかった競輪場、190億円のかるぽーとなど大型事業の建設費・利子、法律が終わってもなお続けている同和行政に偏重した市政運営の結果として生まれたもの。

このやり方を、しっかり改めるのが財政再建の出発点になる。高知市は大型事業の借金返済がなければ、全国の中核市でもトップクラスの効率的な運営をやってきた。年々10億円、20億円規模で借金の返済額が減ってきている。しかも昨年度は、一般会計と国保の会計で10億円の黒字決算になっている。

この8年間の国保料や下水道使用料の値上げ、手数料負担増は60億円もある。その結果、市民の生活のきびしさが広がっている。高知市は「財政が大変だから負担を」と言ってきたが、黒字になるほど市民に負担をさせすぎた。市民に還元すべきだ 

金が地域を循環することが大事であり、下水道事業は巨額の費用が県外企業に流れる。学校給食など高知市がすすめている外部委託も多くが県外企業にとられている。これでは税収が上がらない。委託契約の7割、60億円が随意契約で、職員を減らした結果、何でも前例踏襲、創造的思考ができない状況が生まれているのではないかと危惧する。無駄遣いのチェックにも余裕がなくなっている。これでは逆効果だ。

これから旭駅周辺の区画整理などの大型事業があるが、予算編成過程を情報公開の対象にするなど、市民参加の財政運営に転換していくべきだ。

岡崎 財政不安になった大きな要因は、国の「三位一体改革」により、交付税が大幅に削減されたこと。歳入の削減が一番影響が大きかった。高知国体、清掃工場の建て替え、かるぽーとなどが一時期に重なり、その時に起債の借り入れが多かった。一時期に集中しすぎたところは我々も反省している。もう少し計画的になだらかにやるべきだった。一番大きな影響があったのは、交付税の大幅削減だった。

 全国的な問題が要因であれば、全国どこもこういう状態になったはずだが、高知市は特別の状況に陥った。そこをしっかり反省しなければ、今後の高知市の財政運営に責任が持てない。大型事業を続けたことの反省が必要だ。「夕張のようにならない」と言っているが、市民に固定資産税、ゴミ有料化を提案した時には「夕張になるからやらせてほしい」と言ってきた。 先行きの展望をしっかり持てずに、市民に無理な負担を押し付けようとしたことへの反省も必要だ。(2011年11月20日 高知民報)