2011年10月18日

 日本共産党高知県委員会が、県知事選挙にのぞむ政策を公表しましたので内容を紹介します。

豊かで住みよい高知県づくりへ、ともに力をあわせましょう
 
  県知事選挙にのぞむ日本共産党の政策アピール(第一次版) 

                   
     2011年10月15日本共産党高知県委員会

高知県民のみなさん。 国の政治のしわよせを受けて、県民の暮らしも、高知県経済も深刻な状況がつづいています。

あいつぐ社会保障の改悪、雇用の非正規化と不況、第一次産業の低迷によって、地域の疲弊と貧困が拡大しています。 高すぎる国保料(税)の影響により滞納率は13.3%にのぼり、窓口負担の重さとあわせ、少なくない人たちが医療から排除されています。高知医療生協潮江診療所の取り組んでいる無料・低額診療事業には、1年間で59人が適用され、うち19人は緊急入院しています。  

県内の就学援助率は22.4%(09年)という高率で、生活保護率は26.3‰(2011年3月)と、全国平均の約2倍となっています。  有効求人倍率は、0.4倍台から0.6倍前後にやや改善したものの依然として厳しく、とりわけ正規雇用は0.25 倍と極端に低くなっています。

輸入自由化による生産物の価格低迷と資材、燃油の高騰が農林漁業を苦しめています。一戸あたりの農業所得は116万円(09年)と、2000年186万円、06年142万円から大きく減少し、この5年間で、農家総数は8.9%減少し、林業の経営体も37.9%減となるなど、基幹産業である第一次産業の足元が大きく揺らいでいます。  

医師不足や中山間地の医療過疎も深刻です。特養ホームの待機者は在宅555人を含め3,047人(2010年11月末)と深刻な状況が続いています。  

このようなもとで、自治体は住民の福祉と暮らしを守る仕事を果たさなければなりませんが、国が進めてきた「地方分権改革」は、地方自治体の機能を損なってきました。「三位一体の改革」では、とくに地方交付税の一方的削減が自治体財政に大きな困難をもたらしました。市町村合併の半強制的な推進によって、住民サービスは大幅に低下し、周辺部となった旧自治体の人口減が急速に進んでいます。

09年総選挙での政権交代は、暮らしと地方を破壊してきた自民・公明政治への国民の怒りが生み出したものです。民主党政権になって緊急経済対策の実施や高校授業料無償化など、部分的な改善はありますが、民主党は「国民の生活第一」という公約を投げ捨て、自民党、公明党と「3党合意」を結び、財界中心の「構造改革」路線を復活させようとしています。 今後、「社会保障と税の一体改革」という名の医療・介護・福祉の切り捨てと消費税増税、関税ゼロ・規制撤廃で国内の一次産業、医療、公共工事に壊滅的打撃を与えるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加などが、民自公の「大連立」とも言える態勢で、強行される危険が迫っています。

暮らしと地方破壊の路線を許さず、県民の命と暮らしを守るために、県政が果たす役割はますます大きくなっており、日本共産党は、そのためにいっそう努力していきます。 同時に、高知県民の苦しみの解消は、「財界・大企業中心」「アメリカいいなり」という国政の「2つのゆがみ」をただすこと抜きには実現しません。社会保障の削減と医療や保育の市場化、庶民増税と大企業・大資産家への減税、非正規雇用の拡大など雇用の規制緩和と一次産品の輸入促進、地方財源の切り捨てなどは、財界とアメリカの「要求」によって進められてきたもので、「社会保障と税の一体改革」、TPP参加はその典型です。 日本共産党は、県民を苦しめる根源である国政の「2つのゆがみ」をただすために全力をつくします。

高知県民のみなさん。 日本共産党は、「利権しがらみと決別した県民が主人公の県政」「一次産業の振興、福祉教育の充実など県民の命と暮らしを守る県政」「国の悪政を持ち込まず、県民の立場で国に対してモノを言う県政」という基本にもとづいて、橋本前県政以来、県民の立場に立って「県政改革」を前進させるために奮闘してきました。

前回知事選からの4年間、政治と行政のあり方の根本にかかわる重要な事件が相次ぎました。リーマンショックは、大企業呼び込み型の経済・雇用対策の脆弱性を露呈しました。お医者にかかれない無保険や子どもの貧困が拡大し、「無縁社会」の深刻な実態もあらわになりました。そして東日本大震災と福島原発事故は、福祉と防災のまちづくりとそれを支える公的役割の重要性、原発依存のエネルギー政策の転換の必要性をはっきりと示しました。これらは、日本共産党が県民とともに進めてきた「県政改革」の方向の大切さを改めて示しています。

そのことに立って、私たちは、憲法と地方自治の本旨に立ち、いま、求められる県政の姿を次のように考えています。

@第一次産業を軸にし、地域の資源に光あてた産業振興と雇用の場の拡大。防災事業や特養ホーム増設など福祉・医療の推進を地元の仕事おこし、雇用対策として重視する。一次産品だけでなく、製造、公共事業においても「地産地消」を徹底する。「官製ワーキングプア」を無くし、公共調達における労賃や労働条件の確保をすすめる。

A安心できる地域社会の構築。医療・介護・福祉サービス、生活交通の充実。医療難民を出さないため、国保料や窓口負担の軽減措置の実施。 特養ホームの増設や介護労働者の労働条件の改善など介護施策のいっそうの重視。買物難民解消など住み続けられる地域づくり。

B子どもの貧困の解消、子育て支援と少人数学級など教育条件の整備・充実。少人数学級の拡大、司書やスクールソーシャルワーカーの配置など教育体制の充実。管理・統制、過度の競争をもたらす「学力テスト」に反対する。子どもの医療費と保育料の軽減、中学校給食を促進する。学校の統廃合は、地域の実情と住民の合意を重視し、一律的な強制はしない。

C南海地震・津波対策の抜本的な強化、平和で安全な県土づくり。公的機関の耐震対策、民間の耐震住宅工事のいっそうの充実。津波避難タワー、避難道の整備の促進、防災教育の充実。宿毛湾港の軍事化反対、リマ海域撤去、米軍低空飛行訓練の中止。騒音など自衛隊の基地被害の防止。原発からの撤退と自然エネルギーの促進。売電益が地元に還元できる仕組みを構築する。

D県民参加の県政を、公務の役割強化を土台に前進させる。安易なアウトソーシングは行わず、公務の専門性を重視し、安定雇用を重視する。女性の幹部登用、男性の育児休暇促進など男女平等、女性の力が発揮できる県政運営。

ETPP、消費税増税など国の施策に対し県民を守る立場での積極的な発言。具体的な政策提言とともに、県民の暮らし、地方の悪化をもたらす国の施策には、県民とともに運動の 先頭にも立つ県政。

高知県民のみなさん。国政も、地方政治も大きな転換期を迎えています。「高知県政をさらに前へ」――その推進力は、県民の世論と運動です。「自由は土佐の山間より」の県詞にあらわされた自由と進取の伝統を引き継ぎ、高知県政が全国に誇りうる発展をとげるよう、ともに力を合わせていこうではありませんか。