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聴衆に問いかける野田正彰氏 |
精神科医の野田正彰・関西学院大学教授が10月2日、高知市立自由民権記念館で開かれた女性「九条の会」高知6周年のつどいで講演。アジアとの対話を阻害している日本の近現代史欠落の克服のために、高知県が果たしてきた軍国主義・アジア侵略における役割を知ることの重みが強調されました。
野田教授は、ドイツで取り組まれているナチズムを背負った者として歴史的責任を問いかける高校教育と、近現代史を教えず空洞化が著しい日本の教育とを対比。日本社会で展開されてきた戦後の民主的な運動も、同様の限界を持っていることを自問すべきではないかと問いかけ、「日本が近現代史を調査研究して、謝るべきところをきちんと謝罪することをせず、無知を再生産する教育をしてきた結果、アジアの国々との対話ができなくなっているのが現状だ」と指摘。
これを克服する一歩として、憲法九条を守る運動に加えて、土佐の自由民権運動が、どのように変質してアジア侵略の先兵となっていったのかを調べ、学ぶ運動に取り組んでほしいと提起しました。
講演を聞いた参加者から出た「加害に向き合うことに恐怖感がある」という声に対して野田教授は「漠然とした根拠のない恐怖だ。信頼とコミュニケーションがあれば何も怖いことはない」と答えました。(2011年10月9日 高知民報) |