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龍馬伝ドラマ館開館にあたりテレビの取材に応じる尾ア知事(2010年1月14日) |
JR高知駅前に今年7月設置された「三志士像」やドラマのテレビセットを展示したパビリオンにみられる尾ア県政の観光行政の方向を決定付けたのは、2010年1月から1年間にわたり放映されたNHK大河ドラマ「龍馬伝」だった。
知事就任直後の2008年度は、特別な「目玉」はなく、県下全域の従来施設をメインにした「花・人・土佐であい博」が取り組まれ、09年は冠をつけた「博覧会」はなし。そして10年の「土佐・龍馬であい博」に引き継がれていく。
「龍馬伝」放映のニュースが飛び込んできたのは08年6月。6月6日の定例記者会見で知事は「正直言って万歳三唱したい気持ちで、本当に嬉しいと思いました。この機会をしっかりと生かしていきたい。本当に万歳三唱したい気持ちです」と、小躍りせんばかりの受け答えだった。
「龍馬伝」放映の決定を転機に、高知県観光の方向は大河ドラマに依存したスタイルへと大きく舵を切っていくことになる。
全国規模で営業している旅行代理店のアドバイスに重きがおかれ、高知県の歴史や自然、食べ物をじっくり育てていくより、即効性を求め旅行商品としてのインパクト、いかに目立つように商品パンフレットに記載されるかということが、重視されるようになっていく。
10年の「土佐・龍馬であい博」は「高知駅前、安芸市、梼原町、土佐清水市に設置されたドラマ館がメインとなった。
「龍馬伝」は主役の坂本龍馬役を人気絶頂の福山雅治が演じ、民放でも「JIN」という坂本龍馬が登場するドラマが全国的に人気を博したこともあって、空前の「龍馬ブーム」が巻き起こり、県下の観光地や施設には観光客が押し寄せ、宿泊客も大幅な伸びを見せる。
県が公表した2010年の観光客の入り込み数は約435万人で、前年の315万人を大きく上回った。
しかし、ドラマ終了後には反動が一気にきて大幅に観光客が減るのが通例であることから、落ち込みを緩和するために県は「ポスト龍馬博」の検討をすすめ、2011年度は「志国高知 龍馬ふるさと博」に取り組むことに。「目
玉」は高知駅前に新たにドラマで使われた龍馬の生家セットを展示した「龍馬伝・幕末志士社中」、坂本龍馬・中岡慎太郎・武市半平太の樹脂像だが、これには県民から「底の浅い偽物観光」との批判が高まることになった。(つづく)(2011年8月14日 高知民報) |