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タヌキやアナグマと誤認しやすいが、尾のシマが特徴
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アライグマ=1977年にテレビで放映された『あらいぐまラスカル』の愛らしい姿を思い起こす人も多いのではないでしょうか。しかし、近畿・中国・四国などでアライグマによる被害が大問題になっています。
アライグマは特定外来生物。地域にいなかったにもかかわらず、人間の活動で入ってきた外来生物のうち、自然環境に大きな影響が出たり、農作物に被害を与える侵略的な生物を国が指定。高知県には「今のところ入っていない」(県鳥獣対策課)という状況ですが、生息域は高知県境に迫っており、楽観できる状態ではありません。正確な情報を集め、水際で食い止める先手をとる対策が求められます。
アライグマは農村部でも都市部でも人間が住む環境に、どこでも対応し、何でも食べて繁殖します。とりわけスイカ、ブドウ、モモなどの果物、トウモロコシを長い指を使って実だけ取って荒らしたり、人家の天井裏に巣をつくり糞尿で天井を腐らせるなどの被害が出ています。また伝染病を伝搬する危険もあり、強い繁殖力のため他の在来種への影響も大きいと考えられます。
県鳥獣対策課では「中国では岡山がひどい。四国では香川は全域、愛媛・徳島でも被害が出ている。徳島で生息しているのは吉野川流域と海岸なので、特に県境の大豊町、東洋町で情報収集を警戒心を持って強める必要がある」。
今日のアライグマの増加は、かつてテレビドラマでブームになり、ペットとして飼ってはみたものの、手に余り飼育を投げ出して野外に放した個体が野生化し繁殖したものと考えられます(外来生物法は2005年施行、以前はペットとしての販売、飼育が可能だった)。さらに外来種から日本の生態系を守る国や自治体の対策の遅れが重なり事態が深刻化しています。
高知県は幸いに「地形が幸いして、まだ本格的に県内に入ってきてはいない」(県鳥獣対策課)という状況で、アライグマが県境を越えて入って来る前に食い止めることが肝要です。アライグマを目撃した方は、情報を迅速に市町村や高知県に連絡するようにしてください。
高知県鳥獣対策課 088−823−9039 高知県環境共生課 821−4842
アライグマ 北アメリカ原産。森林、湿地帯、都市部の幅広い環境に適応し、雑食性で小型ほ乳類、鳥と卵、魚、昆虫、果実、野菜、穀物などを食べる。木の洞、人家の屋根裏などで繁殖し、繁殖力が強い。学習能力が高く、長
い指を持ち手先が器用。成獣の力は強く鋭い歯と爪を持つ。性格はどう猛。体重は4〜10キログラムになる。特定外来生物に指定され、飼育、保管、販売、譲渡、放すことも禁止。(2011年8月14日 高知民報)
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