 ２０１１年８月７日 |
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| 連載 尾崎県政の４年間 「対話と実行は本物か」 ⑮禁断の世界 銀座出店 |
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高知県の「顔」として銀座・有楽町に賃貸のターゲットを絞り込むものの、条件が折り合う物件がなかなか見つからず、ようやく銀座１丁目のビルに決定したと県が公表したのは年末も近い２００９年１１月だった。 物件は銀座１丁目、リープレックス銀座タワーの１、２階、地下の３フロア（１４３坪）を店舗として借り上げるものだが、この場所は「銀座」と言っても中心街の人の流れから離れており、全国一人気のある沖縄県アンテナショップに隣接しているというプラス面をのぞけば、「商売」に適した場所とはいえない場所ではあるが、「銀座」という地名、０９年度末までの開店という「至上命題」を迫られての妥協の産物とみることができる。 物件がまだ決まっていない段階の７月県議会に、アンテナショップを運営する母体として、県直営よりも自由度が高い県地産外商公社を立ち上げるなどの予算８１９０万円が提案されたが、「日本共産党と緑心会」は「拙速、不透明、白紙委任になってしまう。これでは見切り発車」と批判し、同予算の削除を求めた（賛成は共産緑心の５人だけだった）。 さらに同年１１月県議会には店の改装費１億９５００万円、開店イベント３１００万円、仲介手数料や敷金６９００万円、５年分の家賃３億９１００万円（年約７８００万円）などの予算が計上され、これも「日本共産党と緑心会」は削除を求めた。 新アンテナショップには莫大な県費が投入されていくことになるが、「このショップは県として設置するものであり、初期投資は県が負担する」（岩城孝章・県産業振興推進部長）。公社の運営経費は、ショップ以外の仲介斡旋、情報発信など、これまで県東京事務所が担ってきた地産外商のための非収益部門を一部統合して年間約１億５０００万円を想定。初期投資を合計すると５年間で約１０億円もの巨費が投じられることになる。 公社は経費の中の家賃分のうち年間３０００～４０００万円を売り上げで「稼ぎ」一定の穴埋めをする計画になっている。 結局、県が税金で構えた店を、県が中心的に出資して設立した県地産外商公社が運営するスタイルであり、実質的には県営ショップというのが実態。これほどの出費をしてまで「県営」の店を出すことが適切なのかについては、県庁内でも意見が分かれ、批判的な意見を持つ職員も少なくない。 一方でショップ運営を任され「稼ぐ」ことを至上命題とされた公社の重圧は相当なもので、開店前に関係者聞くと「売れるかどうか分からない商品を扱い、商品改良につなげるという目的があるので黒字ならよいわけではないが、ズルズルと赤字でもいけない。県に迷惑をかけないようにしなければならない」と戸惑いを隠さなかった。 尾﨑知事は「従前から県がやってきた仕事が公社に移ることもあり、実質負担額は年１億円程度。そう大きな額ではない。はるかに大きな効果がある（０９年１１月２４日の記者会見）」と、採算にこだわらない姿勢を強調する。 銀座という「生き馬の目を抜く抜く」全国一の激戦地で、「県営」ショップが、商売で生き残りながら、県産品の販路を広げる地産外商をすすめることが求められ続けていくという、行政としての「禁断の世界」に尾﨑県政は自ら足を踏み入れていく。「赤字」がかさみ、新アンテナショップへの県費投入がこれ以上膨れ上がるようなことになれば、県政の致命傷にもなりかねないアキレス腱といえる。（つづく）（２０１１年８月７日 高知民報） |
