2011年7月17日

新エネ転換のカギ 太陽光発電 かみ合わぬ県補助利用伸びず 四国県庁所在地で補助金なしは高知市だけ 

 
 全国から出遅れている高知県の家庭用太陽光発電普及率
原子力発電から早期撤退するためには自然エネルギーへの転換が急がれていますが、家庭用の電源として重要な太陽光発電。高知県は日照時間が全国トップクラスであるにもかかわらず、「全国と比較するとやや遅れ気味」(田村荘児・林業振興・環境部長)と出遅れは県も認めますが、普及割合は全国最下位クラスで、四国でも最低(香川県の半分の水準)、完全に遅れをとっています。尾ア県政が重視する新エネルギー推進のカギを握る太陽光発電を加速するための課題を考えます。
 
太陽光発電は住宅に設置したソーラーパネルで日中発電し、自家消費しなかった電力を電力会社が買い取るシステム。空きスペースを効果的に利用し、電力需要が高い真夏のピークを抑えることができます。

太陽光発電はメンテナンス不要の安全な発電ですが、難点はコスト高。ソーラーパネルの価格は高く、家庭用として一般的な3〜4キロワットで200万から250万円程度の設置費用がかかります。

補助制度比較

国や各自治体は太陽光発電設置の際の負担を軽減するため、補助制度を用意しています。国はキロワットあたり4・8万円。家庭用3〜4キロワットで実額20万円弱に。さらに都道府県、市町村が独自に上積み補助を用意しています。

設置費から補助金を差し引いた残金の支払いは、自家消費したことで安くなる月々の電気代と電力会社への買電料を充当することで、日照条件によりますが、10年から15年程度で「元が取れる」形にほぼ近づいています。

全国的に遅れをとっている高知県で太陽光発電を一気に拡大するには、初期投資を抑えることが肝要であり、県や自治体の設置時の補助金を充実させる必要があります。

平成23年度の四国の県庁所在地の状況

香川県 キロワット2万円(上限8万円)  高松市3万円(上限15万円)
愛媛県 なし                  松山市6万円(上限18万円)
徳島県 なし                  徳島市一律8万円(LED照明など省エネルギー機器設置が必要)
高知県 一律10万円(県産材を使う新築住宅やリフォームが前提)  高知市はなし

県庁所在地で補助制度がないのは高知市だけ。高知県内の他市町村からも大きく出遅れています。

高知市環境政策課は「あればよいとは思うが、対象は持ち家の余裕がある層になる。金持ち家庭に補助する制度は考えにくい」という的外れな認識。

高知県の制度は、本来別個の目的である県産材利用促進補助金と抱き合わせになっているために、太陽光発電を単独設置しても補助の対象にならないという中途半端なものです。

高い関心

昨年から市単独で補助制度を作った南国市は、市内業者キロワット4万円(上限16万円)、市外業者3万円(12万円)と、地元業者振興にも位置付け政策を展開。22年度の実績は62件、23年度は6月末で60件を超え、8月には1000万円の予算を使い切る見通しで「市民に関心が高まっている」(同市環境課)。

一方で、県補助金の22年度実績は30件(県産材利用促進補助金は323件)で、太陽光発電設置の動機付になっているとは言い難いのが実情で、県産材補助との抱き合わせには県林業振興・環境部内にも、「どうしてくっついているのかよく分からない」という声もあります。

6月県議会で田村部長は補助制度について「普及を一段と加速していくことが必要。、固定価格全量買取制度などの動向を見極め検討する」と答弁しました。

国の動向を注目しながらも、自然エネルギー先進県にふさわしい大胆な施策展開が急がれており、現行の県産材利用補助金との抱き合わせは改め、太陽光発電に関心を持つ家庭が使える制度にすべきです。

南国市の施工業者「はまでん」の話 太陽光にしたお客さんはとても喜んでくれ、知り合いの方を紹介してくれます。一番変わったのは家族の節電意識だと、どこのお宅でも聞きます。(2011年7月17日 高知民報)