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土佐市で講演する和田宰代表幹事 |
伊方原発の危険について学習する「福島原発事故から伊方原発を考える」が7月2日、土佐市で開かれ85人が参加。老朽化した伊方1号機、3号機での世界でも例のない高濃度プルトニウム燃料を使ったプルサーマル発電の危険性などを学びました。講師は和田宰・「伊方等の原発の危険に反対する愛媛県民連絡会」代表幹事。「土佐市・九条の会」主催。
冒頭、田所金久・「土佐市九条の会」代表委員が「原発事故がおきてしまえば政治で片付けることはできない。事故を防ぐには運転をやめるしかない。九条の会がなぜ原発を取り上げるのか。原発と平和はつながっている。9月に東京で5万人集会が開かれるが、呼びかけ人は九条の会とほぼ同じ。こういう状況の中で我々も原発問題に取り組んでいく」とあいさつ。
和田代表幹事は、福島原発事故では1号機が津波前の揺れにより冷却水が漏れ、炉心溶融にすすんだ可能性を指摘し、「これは日本のすべての全原発の脅威であり、津波以前に炉心が溶ける可能性を示した重大問題だ。しかし四国電力は揺れによる被害は『伊方ではありえない』と安全神話を変えていない」と指摘。
伊方1号機は耐震基準が出る以前(1977年)から稼働しており、耐震の考え方がなく、とりわけ蒸気発生器の支持構造物強度が四電側の資料でも発生値と許容値との差が極めて接近している危険性を示しました。
千葉昭・四電社長が最近になりこれまで「570ガル対応で問題ない」と言い続けてきた耐震強度を「1000ガル対応に引き上げる」と言い出していることには、「徹底して延命する路線だ。今声を上げなければ四国は原発依存を引きずる島になってしまう」と批判しました。
さらに4・1%という世界でも前例のない濃度のプルトニウム含有量の燃料を使う3号機のプルサーマル運転の危うさ、1号機の原子炉の脆性劣化データが16年間も検査報告されていない問題、弱い立場の労働者の深刻な被曝問題について述べ、「四県の知事が本気になれば5年かからず四国を原発に頼らない安全な島にできる。今は時代の大きな変わり目。次世代に負の遺産を残すのか。一人一人が決意して行動する時だ」と呼びかけました。
講演を聞いた45歳の看護師の話(土佐市在住) 原発に代わるエネルギーがあるのか、電気料金がどうなるのかなど不安もあるが、原発はなくさななければならないということ、人間の手で廃棄物を処理できないような発電はやめなくてはいけないということがよく分かった。
和田宰・「伊方等の原発の危険に反対する愛媛県民連絡会」代表幹事の講演から
放射線で原子炉が脆くなっていくことについて話します。鉄というのは少々叩いても簡単には割れない。焼き物のようにパリンとはならない。
ただ、鉄もどんどん冷やしてマイナス25度とか35度になると、ガツンと衝撃を与えると脆くなる性質が急速に増えていく。その境目があります。鉄の脆さは温度で表します。
原子炉の真ん中にある圧力容器の分厚い鋼鉄に放射線が当たり続けると、鉄のしっかりした組織がゆがんできて、ある時、鉄の粘り強さが失われて、割れるということが起こりうるのです。
新品の時はマイナス25度まで耐えることができるのですが、だんだん古くなってくると、耐えられる温度が高くなっていく。30度とか、50度とか。
心配なのは「危ない」と言って急冷する時。「地震だ、止めろ」と制御棒を入れて、水を入れて冷やす。サーッと水を入れて冷やすと、非常に脆くなっているから危ない。
伊方1号機は驚いたことに、16年間もこのデータが報告されていません。初期値(1977年)はマイナス25度、それが第1回0度(78年)、2回16度(82年)、3回30度(95年)と上がっている。
第3回が1号機の計測の最後。16年前ですよ。先日、愛媛県庁で原子力安全対策推進監に、その後のデータを把握しているのかと聞いたら「把握できていない」と言っていました。
脆さをどうやって調べているのかというと、原子炉の中に貼り付けているテストピースをはがして、実際に衝撃を与えてみる。テストピースの残りが少ないと言われていて、なかなか使いたがらない。それにしても16年も検査報告していない。95年にすでに30度になっているのですよ。
マイナス25度まで温度が下がって衝撃を与えても割れない粘り強さがあるものが、放射能が当たることで脆さが増す。30度より下がると急速に脆さが出るところまで行っている。特に沸騰水型より、伊方のような加圧水型のほうが脆さの点では弱い。脆くなりやすい。
沸騰水型にはシュラウドという傘のようなものが中にあって、それが多少遮って原子炉の壁が多少守られるのですが、加圧水型は脆性遷移温度が高い。玄海1号(加圧水型)は60度まで行ってます。いざという時には原子炉を冷やすため海水を入れますが、海水の常温は25度とか30度。そういう水をドンと入れた時に危うい。伊方1号機は直ちに廃炉するありません。
このような重要な指標が調査報告されていません。車検もせずにぶっ飛ばしている車のようなものです。
伊方1号、2号機はほぼ同じ形をしていますが、これまでひび割れが起きた場所はそっくりな場所で、圧力容器から出る配管の付け根の肝心な部分でした。そこを溶接で修復している。これは1号、2号の構造的欠陥です。
ひびは、中性子線で鉄が脆くなる性質があるので、とりわけ気をつけなければなりませんが、こういうことを発表するのは、いつも四電系列会社なんですよ。これが客観的に見ているのかというのは大きな問題です。(2011年7月10日 高知民報) |