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長期計画停止中の四電阿南火力発電所1、2号機(徳島県阿南市) |
定期点検で停止中の伊方原発3号機。四国電力は7月10日からプルサーマル発電を再開したいとしていますが、中村時広愛媛県知事や尾ア正直高知県知事が、国が明確な安全基準を示さないままの運転再開に難色を示し、再稼働は困難な状況になっています。四電は3号機が動かなければ7月後半の需給が厳しいとして再稼働に意欲を示す一方、節電を呼びかけなくても夏を乗り切ることができると千葉昭社長が述べるなど矛盾した言動も見られます。
四電が予想するこの夏の最大電力需要は570万キロワット。伊方3号機が再開しない場合の供給可能電力は577万キロワットで、供給予備力が7万キロワット(1・2%)しかなく、再稼働が必要としています。
ところが四電は自社の発電設備をフル回転させているとは言い難く、電力不足を回避する対策を本気で必要としていないことが読みとれます。
徳島県阿南市橘町の阿南火力発電所は重油・原油を燃やす4つの炉を備えていますが、1号機(12・5万キロワット)、2号機(22万キロワット)は長期計画停止中。運転再開に向けた準備にもとりかかっていません。
6月24日、同発電所を取材したところ担当者は「ここはベースではない調整電源。ピーク対応など必要な時だけ回している」。この日は四国をはじめ西日本は猛暑で電力が多く消費されましたが、1号機、2号機だけでなく、4号機(45万キロワット)も運転を休止。実際に運転されたのは3号機(45万キロワット)だけでした。
このように四電は持てる発電能力を十分発揮しておらず、余力があることが読み取れます。
伊方原発の発電能力は1号機(56・6万キロワット)、2号機(同)、3号機(89万キロワット)。これを全部停止しても、自然エネルギーへの転換が進むまでの間は、阿南火力発電所などの活用、関西電力への融通の見直し(約50万キロワット)、電源開発や四国各県営発電所、住友共同電力などからの電力買い入れを増やし、節電に努めることで対応は可能です。(2011年7月3日 高知民報) |