 ２０１１年６月５日 |
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| 尾﨑知事の原発脱却は本物か 孫ソフトバンク社長と共同歩調 伊方の危険認識には不十分さ |
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５月２５日に東京都の都道府県会館で「自然エネルギー協議会」設立にむけて孫社長、上田清司・埼玉県知事、川勝平太・静岡県知事などが出席して共同記者会見を開催。ここで孫社長は、原発からの撤退をすすめ、１０年後には太陽光発電など自然エネルギーによる発電比率をヨーロッパ並に全電力の３割までに引き上げる戦略的方針を国が掲げることを求め、休耕田や耕作放棄地などにメガソーラー（大規模太陽光発電施設）を設置するなどして太陽光発電を軸にした分散型エネルギー社会をめざす構想を打ち上げました。 ５月２５日現在、参加を決めているのは19道県（北海道、秋田、埼玉、神奈川、福井、山梨、長野、静岡、三重、岡山、広島、香川、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎）。 ４月２６日に尾﨑知事と孫社長が東京で面談して構想の説明を受け、県庁内での議論を経て参加を決定。理由について知事は「もともと高知県は新エネルギーを徹底的に推進し、産業振興の柱に位置づけて取り組んでいくつもりであり、その後押しになると考えて参加を決めた」。 太陽光発電などを軸に自然エネルギーへの転換が今後、世界的な流れになることは止めようがなく、尾﨑知事の判断は当然であり、今後の動きが注目されます。 ■伊方停止には消極的 一方で尾﨑知事は四国電力・伊方原発（愛媛県伊方町）については「停止を求めない」と述べています（５月２５日の定例会見）。しかし伊方原発の実態は、知事自らが述べた「はるかに余裕のある備え」とはほど遠いものがあります。 同原発の立地場所は日本最大の活断層である中央構造線の直近。岡村真・高知大教授は地震による揺れを「最低でも１０００ガル（※）を想定すべきだ」と主張しています。ところが四国電力が想定している揺れは５７０ガルに過ぎす、多くの関係者から「大丈夫なのか」という声が上がっています。 また、伊方原発の１号機は稼働から３５年が経過した老朽機で２号機も稼働２９年になります。３号機ではプルトニウムを燃料に使うプルサーマル発電を昨年３月から始めたばかり（現在点検により停止中）で、運転を停止した中部電力・浜岡原発（静岡県）に匹敵する危険があるという指摘もあり、停止中の３号機の運転再開については中村時広・愛媛県知事も極めて慎重な姿勢をとっています。 尾﨑知事の認識は「四国電力でも相当前向きに見直し、安全対策を徹底していくという姿勢であると伺っている」というもの（４月２８日の会見）ですが、実際に四国電力が講じた具体的な見直し策は、電源車や消防車を高台に移動し、施設のドアにゴムのパッキンを付ける程度で、原発そのもの安全にかかわる見直しは手つかず。尾﨑知事が求める「はるかに余裕のある備え」とはかけ離れているのが現状です。 知事は「伊方原発を全部止めると病院もストップするので現実的ではない」と繰り返すだけで、とりわけハイリスクなプルサーマルからの撤退や、稼働から３５年もたつ１号機の運転中止など具体的な指摘についてはしていません。知事が言う、安全性の徹底見直しと原発依存脱却の本気度、県民の命と生活をどこまで真剣に考えているのが問われます。（２０１１年６月５日 高知民報） |