2011年5月29日

コラムアンテナ 高知市議会分煙対策のその後

この奇妙な分煙スペースは撤去されたが・・・
3月13日号で高知市議会の分煙の実態、市庁舎の喫煙指定場所以外での市幹部やマスコミ関係者の喫煙について指摘したのだが、4月に高知市議会選挙も終わり、新しい議会になったので、その後の変化を関係者に取材することにした。

まずY副市長室の喫煙については、「部屋で吸うのはもうやめてます。4階の職員用喫煙場所で吸っている」(秘書広報課)、市政記者室も「記者室に灰皿はもうない。職員用喫煙場所でY副市長とよく会いますよ」(地元紙記者)と正常化への努力がされていることがうかがわれた。

では議会はどうか。新しい議会の会派代表者会議では、問題になっていた喫煙指定場所ではない廊下の片隅に赤いガムテープを貼っただけの「分煙」スペースの撤去が確認された。当然のことではあるが、ルール破りを追認するようなことをやめることは歓迎したい。

さらに議員用の喫煙室を作る案もあったのだが、「そもそも公的施設は禁煙が原則。費用をかけてまで議員の喫煙のための部屋を作ることは市民に説明つかない」という当然の指摘がありこれも頓挫した。

そうであれば議会棟での喫煙はもうないということなのかと思えば、さにあらず。各会派の控室での喫煙は、それぞれの会派の判断に任されるのだという。

禁煙と定められた庁舎で、議員の勝手な喫煙が認められる意味が理解できないが、どうやら控室では、これまでずっと慣習的に喫煙が続けられてきたのであろう。

そこで5月20日、主要会派の控室における喫煙の状況を調べてみた。

新こうち未来(7人) 同会派の喫煙者は同派代表の戸田二郎議員だけで、戸田議員の机上には灰皿。「控室内での喫煙については、まだ話はしていない」(上田貢太郎議員)

新風クラブ(7人) 喫煙者は水口晴雄幹事長(前議長)1人だけ。水口議員の机と応接テーブルには灰皿がある。取材に訪問したところ「今日から灰皿は撤去する。タバコを吸う時には職員用スペースまで行く」(水口議員)との
回答。

市民クラブ(7人)  全会派の中で最も喫煙者率が高く、控室にタバコの臭いが充満している。「喫煙するのは長尾和明、近藤強、田鍋剛、岡崎豊の4人だが、これからも控室で吸うのかどうかはまだ話合いをしていない」と回答(長尾議員)。現議長の出身会派で、人権問題に熱心な議員も多く、元小学校校長の議員もいる会派であり、これ以上ルール違反を続けることはないと信じたいところ。

公明党(6人) 「喫煙者が数人いるのでは」と幹事長の山根堂宏議員に聞くと「うちは全員タバコはやめました。喫煙者はゼロ。控え室では以前から吸ってない」

共産党(6人) 喫煙するのは幹事長の細木良議員だけ。同党では以前から控室での喫煙は認めておらず「普段から昼間はほとんど吸わないし、市役所でも吸っていない。タバコ代も高いですし」(細木議員)

議会事務局は「庁舎の指定場所以外は全面禁煙で、控室も禁煙ということは議員に言ってある。守ってくれると信じたい・・・」と弱気なコメント。

そもそも控室での喫煙は、庁舎の喫煙場所を云々する以前に、各会派に配置されている女性庶務職員や、控室を訪れる市民の受動喫煙防止の観点からみて許されないことは当然である。この程度の事は、ゴチャゴチャ言われなくても自ら改めてもらえないものだろうか。事は政治家の根本的資質にかかわる問題である。(N)(2011年5月29日 高知民報)