2011年5月15日

県教委大失態 学校警察情報通知 またもや承認されず これで3度目

学校が持つ生徒情報の警察への通知を含む新しい「学校・警察連絡制度」に疑義があるとして、高知県個人情報保護制度委員会(恒石静男会長)が昨年度から二度にわたり県教育委員会からの諮問を了承していない問題について、判断を下すための委員会が4月27日に開催されましたが、県教委が委員の疑問に答える適切な説明をしないために、またもや承認されないという事態に陥り、稚拙な説明しかできない県教委に生徒の重要な個人情報提供を委ねる危うさを露呈する結果になりました。

年度をまたいで異例の三回目の継続審議になった今回の制度委員会で県教委は情報提供する事例について、@家出・行方不明事案、A不良交友事案に絞って提案しました。

しかし、家出をして行方が分からない例だけでなく、生徒が学校に出席している場合でも情報を提供する内容になっていたり、不良交友について情報を提供する根拠法令があると書面に記載しながら、委員に「何という法令か」と問われると「情報を提供する根拠法令はない」と答えるなど、お粗末な説明を繰り返しました。

また、いきなり警察に持ち込むのではなく、県教委自身が関係機関として位置付けている要保護児童対策協議会での対応を求める委員の意見に対しては「市町村の裁量に任されており非行は相手にしてもらえない。要対協での対応は現実的でない」などと回答。また県警本部少年課の警察官が傍聴席から委員の発言にクレームを繰り返す奇怪な場面もみられました。

閉会間際の採決直前になり県教委は「委員には配布していないが、拡大解釈をしないため要綱、ガイドラインがある」と発言。委員から「あるならなぜ配らないのか」と指摘され、急遽配布したものの、「どういう時にどのような情報を出すのかが盛り込まれていない。具体的な条件が示されなければ判断できない」、「時間がない中で配られても内容をつかめない」などの意見が大勢を占め承認はされませんでした。

同委員会の席上、新学期になって「7月1日から新しい制度がスタートします」という印刷物を県立学校が生徒・保護者に配布し、既成事実化されした周知がされていることに対して、委員から「委員会をないがしろにしているとしか思えない」という批判があり、県教委は「手順に不備があったことはお詫びする」と陳謝しました。(5月15日 高知民報)