2011年4月24日

学警連携前のめり 協定結ばぬまま保護者に通知 県教委

高知県個人情報保護条例に基づいて県などの実施機関から個人情報保護に関する重要事項の諮問をうけ意見を述べる県個人情報保護制度委員会(恒石静男会長)が、疑義があるとして承認していないために7月1日からの実施が頓挫している新しい「学校・警察連絡制度」について、県立学校の現場では新学期になり「7月1日から新しい制度がスタートします」という印刷物を保護者に配布する先走った対応をしており波紋を広げています。

同制度委員会は昨年度2月15日、3月22日の2回にわたり「新制度」について審議したものの、学校が生徒の不利益情報を法にもとづかずに警察側に通知するにもかかわらず、情報提供の具体的内容があいまいであること、個別の案件ではなく事前に包括的に諮問することへの疑義、問題があればすぐ警察ではなく家庭裁判所や児童相談所での対応を考えるのが少年法の精神であることなど批判が噴出。

「拡大解釈の懸念が拭えない」として県教委から提示された諮問案件を認めないという異例の事態に陥ったことから、県教委が「次回には具体的な内容を提示するので再々審議ををお願いしたい」として審議を持ち越した経緯があります。

にもかかわらず人権教育課は「予定通り7月1日から実施する。そのために保護者に早く周知する必要がある」(大西雅人・人権教育課長補佐)。 

同委員会の意見を県教委などの実施機関が尊重することは条例で定められているにもかかわらず、委員会の結論を待たずに県教委が突っ走る構図は、懸念されている「拡大解釈の恐れ」が現実になる不安を覚えさせるものです。4月12日に開かれた県立学校校長会で校長から出された「実施はまだ決まっていないのではないのか」という質問に対して人権教育課は「部分的にテクニック的な問題があるだけ」という説明をして、生徒や保護者への周知に問題はないという認識を示しました。(2011年4月24日 高知民報)