|
接岸するトーテュガの巨体(1月26日、池島岸壁) |
1月26日から27日まで、米海軍揚陸艦トーテュガ(LSD46、全長186メートル、16000トン)と海上自衛隊輸送艦「しもきた」(LST4002、全長178メートル、8900トン)が宿毛湾港池島岸壁に入港しました。両艦は共同海上輸送訓練中に寄港したもので、高知県内港湾を平和利用に限る高知県議会決議(※1)に抵触する疑いがあります。米軍・海自艦の同時入港は1999年同岸壁供用開始以後初。同岸壁では宿毛湾非軍事ネットワークが呼びかけた集会とデモが取り組まれ100人が参加。宿毛湾の軍事化に抗議する声をあげました。
今回の訓練について海上幕僚監部は「海上輸送に関する戦術技量の向上及び日米の輸送部隊間における連携要領を演練演練」を1月24日から同27日まで佐伯から伊予灘を経て宿毛に至る海域で実施。内容は「LCAC(※2)運航訓練、艦艇相互研修」としています。
ところが、米海軍側と海自が県に提出した岸壁使用許可申請には「親善及び友好」(米海軍)、「訓練後の休養寄港」(海自)と記載され、訓練中の寄港とされる海上幕僚監部発表とは異なる内容に。
米日共同訓練中の寄港は宿毛湾港の軍事訓練利用につながり、県内港湾の平和利用を課した非核港湾決議の精神に反するものです。県港湾・海岸課は取材に対し「申請のあった親善・休養と受け止めるしかない。訓練のとらえ方が違うのかもしれない」と回答しました。
ジェイムス・P・ローウェル・トーテュガ艦長の話 本艦には300人の海軍と40人の海兵隊員が乗っている。海兵隊員を400人乗せることができるが、今回は40人だ。LCACは2艇、通常は4艇搭載している。「しもきた」とLCACを入れ替える訓練に日夜取り組んだ。災害救助時に一緒に仕事をするためだ。次の寄港地は佐世保。
「しもきた」関係者の話 洋上でLCALを入れ替えて、命令が通じるかどうかチェックした。訓練の成果を米日間で話し合うことになっている。
両艦が接岸した岸壁では歓迎式典が開かれ、岡本公文副市長があいさつしました。両艦長には花束とミカンや酒などが贈られ、式典には中西哲・自民党県議も参加しました。
岡本副市長のあいさつ要旨 ようこそ宿毛市に。心より歓迎する。1999年からこの岸壁には大型クルーズ船、貨物船、自衛艦、アメリカ艦船に入港いただいているが、海上自衛隊とアメリカ海軍が同時入港するのは初めてだ。
自衛艦は1999年7月「しまゆき」が最初。それ以来、多く入港していただき、「しもきた」で23隻目。米軍は2006年のラッセル、オカーン、レイクエリー、今回で4隻目だ。乗組員に上陸して買い物などで宿毛市経済に寄与してもらっていることに感謝する。今回は親善と友好ということだが、宿毛市で十分休養してほしい。
※1 1997年12月に高知県議会が決議した「高知県の港湾における非核平和利用に関する決議」。
※2 エア・クッション型揚陸艇(ホーバークラフト)で約70トンの積載能力があり、戦車や180人の兵士を海岸に上陸させる能力を持つ。
米軍は出て行け 100人が抗議
|
トーテュガ入港に抗議のシュプレヒコール(1月26日9時42分) |
1月26日、宿毛湾港池島岸壁で宿毛湾非軍事ネットワークが呼びかけた集会が開かれ100人が参加しました。
松浦英夫・同ネット運営委員が「宿毛を米軍再編、ミサイル防衛計画に組み込み、いつでも寄港できる母港化が狙いだ。合同訓練により寄港目的が変質している。宿毛湾の米軍母港化は断じて容認できない」とあいさつ。山下正寿氏が情勢報告を行い、将来的に宿毛湾港が潜水艦の基地にされる可能性に言及し、米軍艦船の船体に塗られた有機スズ、バラスト水による海洋汚染の危険性を指摘しました。
社民党、日本共産党、高知県平和運動センター、高知県平和委員会の代表の発言に続いて、参加者は横断幕やプラカードを手に港内をデモ行進。「USNAVY GO HOME」、「トーテュガは出ていけ」、「日米共同訓練反対」など抗議のシュプレヒコールを上げました。
宿毛市大島の巻き網漁船乗組員・井渕正澄さん(63)の話 宿毛湾沖はたくさんの漁船が通るが、軍艦は避けない。これほど寄港が頻繁なのであれば、漁協としても安全確保のために発言していくべきだ。「あたご」のような事故があってからでは遅い。(2011年2月6日 高知民報) |