2010年12月26日

図書館合築計画は白紙に 塚地佐智議員が質問 12月県議会

塚地佐智議員
12月14日の高知県議会12月定例会での「日本共産党と緑心会」の塚地佐智議員の質問と執行部答弁の要旨を紹介します。塚地議員はこの他「こども・子育て新システム」、公文書館、若者就職支援、住宅リフォーム、難病相談支援センター、買い物難民について質問しました。
 
TPP交渉

塚地議員 菅内閣は「関係各国との協議開始」を閣議決定した。日本が参加すれば一次産業と地域経済、本県の一次産業、県経済に甚大なマイナス的影響をおよぼす。知事が「賛成できない」としたのは至極当然で、県内でも怒りがひろがっている。TPPは、あらゆる貿易の障壁をなくすことが原則で、労働力移動が自由化されれば、安い労働力が大量に入り賃金低下、失業、社会保障費増大と日本社会が崩壊する危険が懸念される。「条件が整わないから拙速」、「賛成できない」ではなく、断固反対の立場をとり、県民的な運動の先頭に立つべきだ。

尾崎正直知事 現時点では反対と言わざるをえない。関係団体、他自治体と一緒になって政府に働きかけていく。

新図書館

塚地議員 現在、3つの基本構想検討委員会が立ち上げられ議論が進められているが、どの委員会も建設場所ありきで、スペースの制約から課題をどう解決し将来にわたり機能をどう発展させていくかという本質的議論が歪められている。運営主体も基本理念も不明で、暗中模索といった状況。しかも、高知市の合併特例債ありきのスケジュールのため県民の意見に耳を傾ける時間もなく、報告書を年度内に作り上げる至上命題に突き進まされている。

「新時代の図書館を作る高知の会」が結成され県内有識者の連名アピールが出された。あまりに性急に事を進めすぎ、県民の声に耳を傾けない県政のあり方に警鐘を鳴らしたものだ。
尾崎正直知事

知事 合築の是非についてはご指摘のアピールのような意見もあると思う。様々な意見を聞きながら、開かれた形で多角的な検討が行われることが望ましい。

塚地議員 利用者が100万人を上まわる想定がされるのに、今よりわずかな席数しか増えない閲覧室、学生にとって重要な学習室の確保もままならない、さらに現状でも窮屈な書庫計画の上、県の図書資料費を現在の4倍の1億円を目指すことなっているので、新たな書庫棟の建設が迫られる。図書館にとって欠くことのできない将来にわたっての増架スペースが不十分等々、機能やサービスの向上と一体不可分の物理的条件に決定的な問題を抱えた場所だ。

その象徴が駐車場。ついに60〜110台の駐車場整備案が示された。地下、機械導入も提案されているが、工事費、その後の管理運営費が膨らむ事も想定される。当初の予定よりどの程度の予算増となるのか。

中沢卓史教育長 単独整備と一体型整備の比較は同条件で整備した場合を想定したもの。土地取得費や駐車場整備費は計算に入れていない。別の場所に単独で整備するなら土地取得得費とその場所に応じた駐車場確保の為の経費が必要となる。

塚地議員 コストは示せるのではないか。

教育長 極めて大ざっぱだが、建物地下の自走式が1台1000万円。多目的広場への機械式地下式は700万円。ピロティ方式はやり方によって相当変わるが、建物地下よりは安い。

塚地議員 膨大な書庫機能を持つ県立図書館、点字図書館、貴重な標本を収蔵する自然博物館や子ども科学館、今後必要となる公文書館にしても県が責務を自覚し設置しなければならないものだ。その見通しも持たず、わずかな追手前小学校跡地の約半分に詰め込むことで本来機能が果たせなくなることは本末転倒。
中沢卓史教育長


小学校を撤去してまで作り出した貴重な用地に、県立図書館の莫大な書庫を作るため高いビルを建設したり、高い費用をかけて駐車場を作ることが高知市民が望んでいることか。「市民が憩える場、全国からも注目され後世に誇れる施設と場所に」、「こんなに活用したい」という市民の声がかき消されている。

この際、論議を保障するため合築計画は白紙に戻し、県は県立施設として広い駐車場も完備できる用地を選定し、施設を集合的に整備した文化ゾーンを作るべきだ。

約4万平方メートルあるシキボウ跡地を図書館用地として提案する声もあったが、検討に値すると考える。現在のシキボウ跡地の土地活用計画はどのようになっているのか。この際この用地を本県の文化ゾーンとして利活用することを検討すべきではないか。

知事 将来的な県の負担の縮減、図書館のことも考慮に入れながら多面的に検討していく。

塚地議員 重要な答弁をいただいた。図書館についても検討すると受けとった。単独か合築かを検討する時に実態のない比較はできない。県が単独で建てることも考えて用地の想定、確保の覚悟がなければならない。そういう用地としてシキボウ跡地を考えるのか。

知事 実態がある意味のある比較検討をするのは当然だ。

塚地議員 実態の比較は機能もコストも大事だ。シキボウ跡地を明確に位置付けて比較検討をすすめるべきだ。

教育長 一定の仮定のもとでの比較は可能。

点字図書館

塚地議員 現在の高知市点字図書館を移転する発想で良いのか。点字図書館は高知市立でありながら、県立図書館のサービスを肩代わりしていると言っても過言ではない。今日、点字図書館の機能は視覚だけでなく、腕が使えない、発達障害など活字図書を読めない人に読書を保障するものとして位置付けられている。その立場から県が全県を視野に入れたサービス展開、市町村支援を図らねばならない。

しかし、県は検討委員会にオブザーバー参加。活字読書が困難な方への環境整備は誰がどのように責任を持つべきか。県も実施主体として検討委員会に参加すべきだ。

知事は提案説明で「さらに充実したものとなりますよう高知市と連携してまいります」と述べた。県の責務にふさわしい予算措置を講じずして連携はできない。
小田切泰禎地域福祉部長

小田切泰禎地域福祉部長 点字図書館の登録者376人のうち市外が105人。広く県内の視覚障害者に利用されている。新点字図書館は高知市の検討委で基本構想が検討されているが、県もこれまで以上に高知市と連携を強化し、県内全域を対象した基本構想になるよう作業に関わり必要な支援を検討する。

塚地議員 口を出すなら金を出すのは当然。交付税措置分程度の運営費を出す覚悟があるのか。

地域福祉部長 今後もさらに密接に関わりを持っていく。検討委の検討結果に基づき県として必要な支援はする。(2010年12月26日 高知民報)