|
9月6日の病院議会議員協議会 |
4月からオリックス系列会社とのPFI契約を解除し、新たなスタートを切った高知医療センターを経営する一部事務組合である県・高知市病院企業団(山崎隆章企業長)の議会(岡村康良議長、以下病院議会)の場で、一部議員による執拗な企業団攻撃が続いています。地元特定企業の意向を代弁する議員や、来年3月に任期を迎える企業長ポストを巡る思惑が露骨に交錯しており、県民的な監視強化、構成団体である県・高知市の毅然とした対応が大切になっています。
■頓挫
9月6日、元木益樹県議(自民)、樋口秀洋県議(自民)、浜川総一郎市議(新風ク)、西村和也市議(新風ク)の求めで臨時議会が招集されました。
議題はPFI契約解除後の物品(薬剤・診療材料)購入契約や単価について「地方自治法98条1項に基づき山崎企業長に報告を求める」1件。
4月に直営化されてから企業団が調達した薬や診療材料が、その後の価格変動で高買いになっていると指摘するもので、企業団側は診療材料については指摘を一部認め納入業者に値引き要請をしていますが、薬についての指摘はあたらないとしています。
地方自治法98条とは議会が自治体の事務を検査する権限ですが、証人尋問など強力な権限を持つ100条とは異なり、通常の議会活動との違いがわかりにくいもの。実際の狙いは問題をことさら「疑惑」化して元木議員らと対立する山崎企業長の問責決議につなげる意図をもった提案でした。
採決の結果、賛成は議会を招集した4人に加え、上田周五県議(県政会)、梶原大介県議(県政会)の6人。反対は米田稔県議(共産)、岡田泰司市議(共産)、池脇純一県議(公明)、坂本茂雄県議(民主県民ク)、浜辺影一市議(市民ク)、近藤強市議(市民ク)、島崎利幸市議(自民)の7人。賛成少数で否決され、元木県議らのもくろみは頓挫しました。
採決にあたって米田県議は「検査権付与には適正かつ慎重さが求められる。あえて臨時議会に付す正当な理由があるとはいえない。質疑は議員協議会の場でやればよい」と反対を表明。直前まで「調べるだけなら良いのでは」という認識の議員もおり、可決の可能性がありましたが、最終的には「特定の意図を持つ提案の土俵にのるべきではない」という判断が多数になりました。
■人事巡る綱引き
さらに元木議員は、平成20年にSPC=高知医療ピーエフアイ社が調達した薬の入札に不正があったなどと繰り返して、あたかも企業団に落ち度があると主張し、再度問題化する構えですが、PFI契約下で民間会社であるSPCが独自のノウハウで薬を調達していた時のことであり企業団にクレームをつけるのは全く筋が違う話です。
このような執拗な攻撃の背景には、来年3月に任期が満了する企業長ポスト(※)をめぐる綱引きがあります。
元木議員らと対立し激しく攻撃されている現山崎企業長の引退は既定路線。次期企業長のポストが焦点となりますが、現病院幹部を推す動きが、これらの流れと軌を一にして浮上しています。特定の作為で企業長人事が左右されるようなことがあっては断じてなりません。
※企業長は構成団体(県と高知市)の長が共同で任命する。任期は4年。山崎企業は前任者の任期途中の辞任を受けて17年4月に就任した。(2010年9月19日 高知民報) |