2010年8月25日

高知県立・高知市民図書館の一体的整備=統合にゴーサイン トップ会談詳報


高知県・高知市連携会議(8月24日、高知県庁)
8月24日の尾崎正直高知県知事と岡崎誠也高知市長が出席した高知県・高知市連携会議での新図書館整備についてのやりとりの要旨は以下。

岡崎高知市長
 私どもは市議会で一貫して「高知市としては老朽化している市民図書館、県の図書館も老朽化しつつあり、できたら追手前小の敷地のもとで合築を協議していきたい」と答弁してきた。 尾崎知事になってからも提案してきている。新聞紙上でいろんな意見があるが、我々は第一に利用者にどういう利便性があるのかというところを重点的に見なければならない。 ひとつの場所で県の図書館の本も、市の図書館の本も一つのカードで借りられることは、利用者に大きな利便性が発生すると確信している。合築による一体型整備は利用者にメリットがあると考えている。書架を共有することによって一定建築面積を削減することができる。経費的にも有効に使える。

高知市民図書館が「市民の図書館」と親しまれてきたコンセプトを大事にしながら、「市民・県民の図書館」というコンセプトで一体的に整備していきたいと思うので、できれば、いろんな意味で県市合同で準備をすすめさせていただきたい。

尾崎正直高知県知事 我々も県立図書館の整備は、15年来の懸案であり、狭隘化が極端にすすんでいること、原因不明の雨漏りなど、老朽化は非常に深刻で急いで対応しなければならない。この点について県市のワーキンググループで全国的な専門家の意見もいただき、よりよい図書館のあり方についてずっと検討をすすめてきたところだ。提案のあった新しい一体型の県立・市民図書館の基本構想策定に向けて検討を深めていこうという考えについては、私としても大いに賛同させていただきたい。

その理由は、 @県民、市民、利用者の目線から見た時にどちらが便利なのかということを第一に考えていかなければならない。 A一体に整備していくことにより、箱物にかかる金を大幅に削減することができる、毎年の運営経費も大幅に削減することができることになるという2点。

削減することができるようになった部分、重複部分を上手く整理することで経費削減につなげることができれば、その分を県立・市民図書館それぞれが持っている機能充実、大幅強化にむけていくことができる。県立であれば市町村図書館を支援する機能、これが県立の最たる機能だが、この機能を大幅に拡充することができるようになる。市民図書館であれば、市民への貸し出しサービス、分館・分室のネットワーク展開の維持強化に特化していくことができるようになるなど、 それぞれが持つ本来の中核的な機能を大幅に強化することができる。しかもより安い経費で。その点から考えても市長の提案には大いに賛同する。

岡崎高知市長 市民図書館には点字図書館がある。他県では県が実施している場合が多いが、いろんな経過があり高知市が県下的に点字をカバーしている。今は市民図書館本館にあるので一緒に整備していく必要がある。これまでにも県市の役割をどうするかという議論があったが、一緒に整理していただきたい。桟橋の子ども科学図書館は30周年になり、理科のOBの先生が熱心に運営しているが、ここも非常に老朽化している。これも一体的に整備していきたい。今回の検討の中で、点字図書館、子ども科学図書館の整備も、あわせて検討していきたい。点字図書館・子ども科学図書館も含め、財政支援をお願いできないかと考えている。

尾崎高知県知事 箱物にかける金を大幅に削って、点字図書館や子ども科学図書館を充実させることは非常に重要だ。ぜひ基本構想で話を深めさせていただきたい。立地は追手前小跡地でいいのか。

岡崎高知市長 我々は追手前小跡地を想定して工定表を組んでいきたいと思っている。新聞でも様々な論議をいただいているが、図書館は構想の段階のコンセプトの作りこみが重要。県市合同で幅広く意見を聞きながら、図書館は子どもから高齢者までが長く使う重要なインフラ、学力にもつながっていくものなので、一緒にしかっり作りこんでいきたい。

尾崎高知県知事
 厳しい財政状況の中で行なうことだから、図書館をつくることと合わせ、一石二鳥三鳥の効果をもたらすようしくんでいくこともまた重要。何より県立図書館本来の機能を大幅に拡充すること、市民図書館の機能を大幅に拡充することが第一だが、これに加え追手前小跡地に設置することになれば、結果として中心市街地活性化にもつながる効果ももたらすことができる。

郊外型大型図書館という意見もあるが、弱者の視点から見たときに、公共交通機関の十分発達したところにあるべきという意見は説得的だ。 そういう点からみても県民市民の期待に応える立派な施設となるよう、お互い検討をすすめさせていただきたい。

図書館は多くの県民市民が利用する施設であり、今後の検討を深化させていくにあたり、検討プロセスをオープンにしていくことが重要。8月25日には「新高知県立図書館のあり方」「高知市立追手前小学校敷地への県立図書館・市民図書館の整備について」というふたつの報告書を公表し、県民の意見を聞いて、9月議会でも議論をいただくことになる。新図書館構想検討委員会設置に関する補正予算を9月議会にお願いし、承認をえれば具体的な検討に入ることになるが、検討委には図書館の専門家、学識経験者、学校図書館や県内の市町村立図書館関係者、利用者代表者などに参加してもらう。図書館の関係団体から意見をいただく機会を設け、中間取りまとめの際には、パブリックコメントを求めて県民の意見を聞くなど、いろんな方々の意見を聞きながら、よりよい図書館になっていくよう検討したい。

岡崎高知市長 高知市民図書館は戦後日本の図書館をリードしてきた図書館。県市合同で新しい図書館をめざすということは、21世紀型の図書館の姿を探っていくことだと思っている。いいものを作りこみながら、21世紀の図書館のモデルになるという考え方でのぞんでいきたい。

尾崎県知事 県立も新しいあり方をつくりたいと思っている。県立市町村立あわせて図書費が全国最下位という記事が出ていたが、本当に残念だ。増やそうと思っても県立には本を置く場所がない。故に整備を急がなくてはならないが、市町村立図書館、学校図書館の支援機能を大幅に強化した県立図書館を作る。そのために新しい図書館像を一体型の整備の中で模索していきたい。(8月25日 高知民報)