2010年8月8日

尾崎高知県知事 消費税論議早期開始求める 「結論は軽々に出せない」

尾崎正直高知県知事
尾ア正直・高知県知事は7月29日の定例会見で消費税増税について「議論の先送りは政治の信頼感がなくなる。無責任だ」と述べ、早期の議論開始を求めました。

「結論を軽々に述べるような問題ではない」と慎重な議論を求めながらも、2008年には「消費税本体の税率を上げるか上げないか、そんなに簡単に言える問題ではないというのが財務省にいた者の実感」(7月30日記者会見)と述べていたことと比べ、増税により踏み込んだ認識を示したといえます。

また「経済も強くする税制」、「弱い人に負担を押し付ける」ことを回避すべきという言及もあり、法人税減税や消費税の食料品税率軽減など複数税率を念頭に置いていると思われる発言もありました。知事の発言要旨は以下。

(消費税増税論議の必要性について)

尾崎高知県知事 消費税についてしっかりと議論をすすめていくべきだ。かつ消費税に限らず、税体系全体の見直しもよく考えていかなければならない。

財政を強くするにとどまらず、経済も強くしていく税制のあり方、人口減少・少子高齢化の時代において、どういう税制であるべきかをしっかり議論しないで予算を組んでいると、赤字国債50兆円でなければ予算が組めないということになってしまう。それは持続可能な姿ではない。議論はしっかりしていかなければならない。

ただ、実際に実施することになれば、もちろんいろんなことを考えなければならない。経済状況、個人のそれぞれの負担をよく考えて決めていかなければならず、施行時期、制度の仕組みなど慎重に決定しなければならない。このような問題だからこそ、議論をいつまでも先送りするわけにはいかない。

(参院選での民主党の敗因について)

尾崎高知県知事 唐突感があったと言われているが、消費税については、いろんな世論調査で議論の必要性を認める国民の意見は、どちらかというと大きい。こういう問題をいつまでも先送りにしていけば、政治の信頼感はなくなってしまう。重要な問題について真剣に一生懸命議論している姿こそが国民の求めているものではないか。真剣に議論しないと、消費税などで最もダメージを与えてはいけない人にダメージを与えてしまい、担税力のある人からはとらないで、弱い人に一方的な負担を押し付けることにもなりかねない。いつまでも先送りするのは無責任だと思う。やらなければならない。

これだけ大きな問題であるにもかかわらず、「深刻さが分かっているのか」という印象を国民に与えてしまった。総理がどう思っているか別として、そういう印象をもたれてしまった。何%などと軽々にはいえない。どこかで何%という議論が出た。「じゃあそれも選択肢のひとつですよ」というような問題では決してない。税率は、財政や社会保障の見通しを踏まえて決めていくべきだし、最低限の負担にするためにはどれくらいにするかということを、徹底していろんなパターンの試算を経て決めなければならない。軽減税率、今の人口動態の中で経済にどういう影響を与えるか、個々人の暮らしぶり、どういう人にどういう影響をあたえるのかなど、徹底した吟味検証が必要だ。

消費税だけなのかという問題もある。消費税が一定負担増になる分、他のものは軽減していくのがより公平公正に資するし、経済をより強くすることにつながるということの徹底的な検証が必要だ。そういう検証を経て消費税やいろんな税はこうあるべきだと論じていく。議論は絶対避けてはいけないが、結論について軽々に述べられるような問題ではない。(2010年8月8日 高知民報)