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「国債は紙幣印刷して返えせ」と怪気炎 |
麻生太郎・元総理大臣が6月29日に来高し、高知選挙区同党公認候補の応援演説を県内数カ所で行なっている。「何を今更」と思ったが、元総理が今何を言うのかに関心もあったので高知市中央公園の演説会場に出かけた。
元総理の演説であるというのに、聴衆は数百人程度でまばら。落日の悲哀を感じさせるが、度肝を抜かれたのは、元総理の演説内容だった。
麻生元総理は「参議院で民主が圧勝すれば、消費税引き上げが、全部とおるよ。それでええんですか」、「景気をよくする話をしないで取り急ぎ10%下さい。ふざけては困る」と、菅直人総理が「今年度内に消費税増税案をとりまとめ、税率は自民党の言う10%を参考にしたい」と発言したことを強く非難した。
麻生元総理の主張の柱は消費税より景気対策。増税で財政再建はできないというもので、「政権復帰時に税率を当面10%にする」という責任政党・自民党の公約とは随分と異なる内容だった。
景気対策として麻生元総理が最も強調したのが公共事業だった。国債をバンバン発行し、「今は土地も、金利も工事費も安い。工期も早い。作るのは今。新幹線は全部作らなければ効率が上がらない。日本全国をつなげる。いつかやらなければならない。やるのは今だ」とあけすけに土建ゼネコン型公共事業回帰を語ったのが印象的だった。
さらに元総理は「これ以上借金が増えて困ると言う人がいるが、外国人が買っているのではない。政府の借金がふえれば、みなさんの資産が増える。借金ではなく債権だ。10年後に金利がついてかえってくる」。
極めつけは「満期になったら返せばいい。印刷して。日本の金なんだから。これが日銀の最大の力だ。何が問題なのか」。日本国債を買っているのは9割以上が国内で、外国ばかりのギリシャと様子が異なるというのは、その通りだが、だからといって今時、国債をジャブジャブ垂れ流して土建ゼネコン型公共事業に注ぎ込めというのはどういう時代感覚なのだろうか。
中央銀行の無軌道な紙幣乱発は制御不能のハイパーインフレを引き起こすリスクもある。麻生元総理の主張は典型的な「あとは野となれ山となれ」的発想でしかない。これほど能天気な人物がつい1年前まで日本国の総理大臣をつとめていたことには戦慄さえ覚える。
元総理は演説の冒頭、消費税問題に加えて「民主党が勝てば外国人参政権、夫婦別姓も通る。それでええんですか」とも言ったが、この演説会では「比例は公明」が叫ばれていた。公明党の参院選公約には、選択的夫婦別姓制度導入、永住外国人の地方選挙権付与などが掲げられているのだから、もはや支離滅裂としかいいようがない。(N)(7月7日 高知民報)
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