2010年7月4日

コラムアンテナ 民主党のジレンマ 消費税公約

蓮舫大臣(6月27日)
7月11日に投票される参議院議員選挙で消費税増税が大きな争点となっている。法人税を大幅に下げる一方、庶民の暮らしを直撃する消費税を10%以上にしようと狙う民主党と自民党の競演・大連立に、高知県内の有権者の批判は大変強く、増税をかかげる政党の陣営には大きな矛盾が広がっている。

民主党公認で高知選挙区に立候補した広田一候補は街頭演説では「増税の前にやるべきことがある」と言うにとどめ、消費税には極力触れないようにしている。

6月27日には高知市中央公園で広田候補の応援のため来高した蓮舫行政刷新担当大臣が、「何の議論もなしに消費税を引き上げるなどと菅総理がいったら私は体を張ってとめる。まずは無駄を徹底してなくし国民が無駄がないと納得したら、消費税、所得税、法人税がこのままでいいのかを超党派で議論しようということ」とトーンダウン。菅直人総理の消費税増税と法人税減税をセットにした「強い経済、強い財政」路線の火消しに躍起になっていた。

菅総理は6月18日、民主党の参院マニフェストを発表する記者会見の場で、急がれる財政再建のために消費税論議をタブー視しないと前置きしたうえで、「今年度内にあるべき税率、逆進性対策をとりまとめ超党派で合意を得る努力をする。当面の税率については自民党が提案した10%を参考にしたい。超党派が困難なら民主党中心で改革案をとりまとめる」と自分の言葉で国民にはっきり公約している。政権党の党首の言葉は重い。消費税の増税が間違いであったというなら、地方であれこれと口先でごまかすのではなく、総理自らがきちんと撤回するのが筋ではないか。

消費税増税に反対している社民党高知県連は、民主党公認の広田候補を「全面的に支援」(浜辺影一県連副代表が出陣式で)。同党が選挙区で民主党を全面支援することを支持労組の組合員はどう受け止めるのだろうか。福島瑞穂党首の「言葉に責任を持つ政治」という言葉が空虚に聞こえてくる。(N)(2010年7月4日 高知民報)