2010年6月27日

コラムアンテナ またしても比例は公明

石破自民政調会長と並んで登壇する池脇公明県議
「比例は公明」。それはまるでデジャ・ヴ(既視感)のようだった。6月14日、参院選高知選挙区に立候補する自民党公認・高野光二郎候補の決起集会で、同党県連幹部が次々と公明党への投票依頼を連呼した。

自公連立政権時代には見慣れたシーンであったが、政権から脱落し、野党となってからも同じ光景を見るとはよもや思わなかった。 集会冒頭から後援会長役の結城健輔県議が「今日は友党・公明党県議団長の池脇先生が出席しており、公明党から250人が参加している。心から感謝する」と高知選挙区の高野候補とともに公明党比例区・谷合候補への支援を呼びかけたのを皮切りに、中谷元・衆議院議員は「高野と谷合の2人が7月の選挙で当選できるように力を合わせよう」、福井照・衆議院議員が「自公は10年間友党として選挙をたたかってきた。その信頼関係は高知では揺るぎない」と続く。

そして同県連の最高幹部である武石利彦幹事長が「選挙区は高野光二郎、比例は公明党をよろしく」と締めくくった。

選挙は、政党がそれぞれの政策を掲げ支持を争うもののはず。なんとも不可解なのは、比例区で他党への投票を呼びかけるという、その政党にとって自殺行為ともいえる重大な決定について、討議する会議も開かれないまま、「阿吽の呼吸」(自民党関係者)でなし崩し的に決まったこと。自公選挙協力の“毒”は、ここまで自民党の体の隅々まで回っているのかと改めてその依存体質に驚かされる。

自民党は民主党の参院選に至る国会運営を「選挙目当て」とさんざんこき下ろしていたはずだが、民主党の「選挙目当て」は、そのとおりであるとしても、自らがこの体たらく。選挙目当ての野合を繰り返す事が、有権者の政治不信を生み出していることを自覚すべきではないか。(N)(6月27日号)