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写真上から西森前南国市教育長、仙頭市長、100人が
参加したシンポジウム |
旧野市、香我美、夜須町の小中学校に併設された学校給食センターを統合して、県下最大4000食のセンター建設が計画されている香南市で5月29日、「学校給食を考えるシンポジウム」がのいちふれあいセンターで開かれ100人が参加。同市のこれからの学校給食と地産地消のあり方などについて議論がかわされ、「統合センターありきではなく、議論をさらに続けていくことが大切」という意見が出されました。
シンンポジム第1部では小学校で自校方式により地元産の米飯給食を提供している南国市の元教育長・西森善郎さんが地元米を学校給食にとりいれた実践の経験と意義を報告しました。
西森さんは「食育はすべての教育のベース。近くの米を使いたいと素朴に思ったのがきっかけ。すべての給食にヒノヒカリという地元米を使い、副食も南国市産にこだわっている。地産地消は食材を作る人と食べる人が、対面することがもっとも大事だ」と地産地消の役割を指摘。
電気釜で教室で米を炊く「南国方式」を選択した理由として「炊きたてがおいしいから。当初は大量に業者に発注していたが、2時間たつとどうしても味が劣化する。給食は薬ではない。ご飯がおいしければおかずも食べる。どうやっておいしい給食を提供するかを徹底的に追求した」と小規模な調理によりできたての給食を提供することの重要性を強調しました。
シンポ第2部では西森氏に加え、仙頭義寛香南市長、自校方式・大規模センター両方に勤務した経験を持つ学校栄養士の稲葉映子さん、農業生産者の江本美江さん、岡崎健香南市議を発言者に討論しました。
稲葉さんは「給食を作るのは子どもの顔がみえる場所が一番よい。学校の行事にあわせ、子どもの反応をみながら、学校にあった給食づくりができる。統合センターだと配送の順番があり全校の要望には応えられず、子どもの姿がみえない。センターでは1000食が限界ではないか」。
西森さんは「4000食というのは工場。給食はイベントではなくゴールはない。孫子の代までつづく」と香南市の学校給食のあり方を探求していく議論の重要性を強調し、江本さんは「地域の子どもに食材を提供して喜んでもらえるのは、農業人としてのほこりだ」と述べました。
仙頭市長は「いただいた声を統合センターに生かしていきたい。JAに協力要請して(4000食でも)地産地消ができる可能性はある」などと統合センター建設に固執する一方で、「ラインを2本にすることも考えられる。4000食でいきたいが、まだ検討をすすめているところだ」とトーンダウンするような発言もありました。
会場からは「4000食のセンターをこのまますすめていいのか。みんなの知恵を出す論議がもっと必要。8月までに拙速に結論を出す姿勢はあらためるべき」などさらなる議論継続の必要性を求める発言が出されました。
シンポに参加した野市地区に住む32歳の母親は「地産地消と新しいセンターが両立するなら仕方ないと思っていたが、1000食が限度という栄養士の話を聞いて、もっと話し合いが必要だと感じた」と話していました。(2010年6月6日 高知民報)
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