2010年5月30日

コラムアンテナ 社民党高知県連 普天間問題腰砕け

野田、蓮舫議員と並んでひな壇に座る浜辺高知市議
5月23日、高知市内のホテルで参院選にむけた民主党の決起集会が、高知選挙区に立候補する広田一参議院議員、蓮舫参議院議員、野田佳彦財務副大臣を迎え、1000人を超える聴衆を集めて開かれた。

奇異だったのは、ひな壇に民主党県連幹部の姿はなく、蓮舫議員、野田議員と並んで高知市議の浜辺影一・社民党県連副代表と岡林俊司連合高知会長が着座していたこと。弁タレ(弁士の垂れ幕)には浜辺氏の名前が大書きされる破格の扱いだった。

自民党県議出身の保守政治家である広田氏は昨年秋に民主党に入党したばかりで確たる基盤もない。鳩山内閣の支持率が急落する中、活動の頼みは労組ということを隠そうとしない明け透けな演出だった。労組動員には左派色の強い社民党の協力が不可欠ということなのだろう。

浜辺氏は、日頃は歯に衣着せぬ一言居士的な言動で周囲には知られる。折りしもこの日は鳩山由紀夫首相が沖縄・普天間基地の移転先を自民党政権時代と何ら変らない名護市辺野古地区とすることを決めたその日であり、社民党にとっては「生命線」である基地問題で辺野古移転への決定を浜辺氏がどのように批判するのか注目して発言を聞いたのだが、あてが外れた。

浜辺氏は、「自民党が55年間やってきたものが一挙には変わらない」、「高知県は全国で唯一民主党の衆議院議員がいないことで有名になった。自民党復権の芽を摘むのが今回の参院選だ」としながら、以下のように基地問題について触れた。

「民主党にひとつ苦言を。目先のことにとらわれすぎている。目先も大事だが、日本の将来をどうするのか、ビジョンをたてて、腰を据えた政治が必要だ。あまり言いたくないが普天間問題。なぜ5月に決めなければならないのか。安保のあり方、在日米軍はこれでいいのか、沖縄に海兵隊がいるのか。これをじっくり話し合って、より良い方向の結論を見つけて行くべきではないか。腰の据わった政治をすべきだ」

5月に決めるのではなくもっと先に延ばせと言うだけで、辺野古案の批判もなければ、沖縄から基地を撤去すべきという言葉もなかった。

集会終了後、浜辺氏に「えらく大人しかったではないか」と声をかけると苦笑いしていたが、政権を真っ向から批判してしまうと、民主党候補を推薦すること自体に矛盾が生じてしまい、労組の士気にもかかわるということなのだろうが、なんとも腰砕けな発言だった。問題は「腰を据えて」何をするか。基地はいらないという沖縄県民の願いに応え、アメリカに物申していく立場にたたないまま、いくら先延ばしをしても意味はない。(N)(5月30日 高知民報)