2010年5月2日

旧同和住宅 公募情報の操作を継続 高知市が同和行政「見直し」

新築され公募情報開示制限が解除された潮江市営住宅
高知市人権施策本部(本部長・岡崎誠也市長、庁議メンバーで構成)は、平成22年度から24年度まで同市が取り組む、同和行政方針「同和対策関連施策の見直しについて」(以下「見直し」)を決定しました。「見直し」では隣保館=「市民会館」の大幅な人員削減、同和随意契約の撤廃などの前進面とともに、「地域においては今なお所得等において格差がある」として「子ども会」=「児童館」の存続や、旧同和市営住宅の募集情報を市民全体に公表しない特例的扱いの継続などの問題点は依然残されたままです。

「見直し」の主な変更点は以下。

@市長部局の「同和・人権啓発課」を男女共同参画課と統合して「人権同和・男女共同参画課」に変更。
A13館ある「市民会館」のうち朝倉総合、小高坂、長浜、弘岡中の中核館以外9館を1人体制に。

B同和随意契約23年度までの廃止。
 
 「見直し」では同和随契の全廃をうたいながらも、「今後とも就労対策の必要性はあるものと考えられるので、効果的な方策の検討を行うこととする」と付記するなど、分かりにくい記述も残されています。

残存事業

残存する事業として主要なものは以下。

@「子ども会」=「児童館」。旧同和地区だけにしか存在しない「児童館」(1館に2人の指導員を配置)、旧解放こども会が実施する「促進学級」(小中学校の教員が児童館に出向いて特別に加力指導をする)を存続(人権教育課)。

A旧同和市営住宅の入居募集情報を市広報「あかるいまち」に載せず、「市民会館」が配布する館だよりだけにしか掲載しないことで、旧同和市営住宅の入居応募者を人為的に絞ることを継続。(住宅課)

市営住宅全体を管理している住宅課には、同和行政を根拠付ける関連法がない中で、入居募集情報を市民に公平に公開しないことに抵抗感を持つ職員が少なくありませんが、「見直し」に先立っての住宅課への意見聴取はされないまま。「存続」という結果だけが下ろされてきたことに現場は反発しています。「人権施策本部は現場の意見をあげて議論するところではない。上が決めたことを下ろすだけ」(前都市整備部幹部)。

「地域」?

「見直し」の文書には「地域」という言葉が多用されています。

これは本来のエリアという意味合いではなく、高知市同和行政の根本を貫く「属地・属人主義」にもとづき、旧同和地区内に住んでいる関係者を属人でピックアップしたものを「地域」と称しています。

「見直し」は、「地域」と市全体との所得の格差を同和事業継続の根拠としています。市行政がいまだに市民に同和関係者のレッテルを張り、追跡調査をして所得を調べていること自体が人権侵害のそしりを免れませんが、高齢化が進行する「地域」を3年前と比べても、収入が好転せず格差は固定化されてしまっているのは当たり前でしょう。

実際には旧同和地区以上にきびしい実態を抱え、多くの課題がある地区が市内にもいくつもあることを市職員は認識しており、いまだに「部落差別」というフィルターでしか市民の貧困問題をとらえることができない市人権施策本部の認識は陳腐化しているのが実態です。

「見直し」に書かれた旧同和市営住宅の入居募集情報の操作についての記述は「地域の厳しい実情に配慮し、当面の間一定の措置を講ずる」というもの。

いつまでに何をするのか、さっぱり分からない不可解な記述で、同和施策存続を目的化した故の行政の劣化がみてとれます。(2010年5月2日 高知民報)