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共産、公明、市民クラブの反対でゴミ有料化条例は否決された(3月26日) |
岡崎誠也・高知市長が高知市議会3月定例会に提案した家庭ゴミ収集を有料化する条例が3月26日の同市議会本会議で否決されました。反対したのは日本共産党、公明党、市民クラブ(近藤強、岡崎豊議員を除く)。賛成は新風クラブ、自民みらいの会、近藤強、岡崎豊、福島明、氏原嗣志、川村貞夫議員。
市民と市行政が長年築き上げてきた協働により低いコストでゴミ行政が取り組まれてきた「高知方式」のほころびを懸念する市民の声が市長与党会派をも動かし、有料化をストップさせました。
岡崎市長がゴミ有料化導入を表明したのが昨年3月2日の記者会見。5月から「第二の夕張を回避するため」として@固定資産税の期限付き増税、Aゴミ有料化、をセットで提案する市民説明会を開催し、7月からは環境部がゴミ有料化にむけた説明会を開いてきました。
有料化が既成事実化されたような地元紙論調の影響もあり、「もう決まったもの」という受け止めの市民が多い中、日本共産党市議団は市民負担によらない財政再建が可能であり、有料化でゴミは減らないことをビラや学習会、市民アンケートなどで粘り強く訴え。
また市民団体「平和と生活を守る高知市民共闘会議」は反対署名に取り組み、有料化条例が議会に提案された3月8日には市役所前でゴミ袋で作ったプラカードを持ち、集会デモで反対をアピールするなど活発な運動を展開。有料化に反対する市民の世論は日増しに高揚しました。
3月26日の議会閉会日には、有料化条例の採決に際し、日本共産党の江口善子議員が反対討論に立ち、「市長が『市民の一定の合意』の根拠としている『57%の賛成』というアンケート結果は、『賛成』と『どちらでもない』を2分の1した数を加えた虚構の数字であり市民をだますもの。有料化をしなくてもゴミ減量の目標達成は可能だと環境部長が答弁した。減量のために有料化するという理由はなりたたない」と指摘。採決の結果、反対24、賛成19で有料化条例は否決されました。
採決を傍聴していた有料化反対運動に取組んできた女性は「運動を始めたころはストップさせるのは無理と思っていたが、よくここまできた。市民の力が議会を動かした」。
岡崎市長は議会閉会後取材に答え「今回の議会の判断は有料化によらない減量化の推進であり、これには取組んでいく。任期中に(有料化案を)再提出することは考えていない」とコメントしました。
解説 高知市議会がゴミ有料化条例を否決したことによって、岡崎誠也・高知市長が、1年間をかけて集中的に取組んできた「市民負担による財政再建」は完全に頓挫する形で終結することになりました。
市長自らが出向いた説明会では、市民から猛烈な批判を受けて固定資産税増税を撤回。議論の過程で、次々と財政状況が好転する要素が生じたこともあり、当初強調していた、すぐにでも財政再生団体に転落するかのような説明は影をひそめ、「ゴミ有料化の目的は財政再建ではなく、ゴミの減量化」と理由が二転三転するような混迷した状況が見うけられました。
岡崎市長にすれば「これだけ取組んできて何もできなかった」では済まされず、引くに引けない状態で「収拾するためには議会に否決してもらうしかない(執行部関係者)」というのが実際の姿でした。
採決の結果、共産、公明、市民ク(民主・社民系)の反対で否決され、共産党を除くオール与党体制に深い亀裂が。来年4月の同市議選を視野に、各会派の思惑が入り乱れて市政が流動化する気配も見え隠れておりし、「ポスト岡崎」の動きが出てくることも考えられます。(N)(2010年4月4日 高知民報) |