2010年3月21日

どうなるゴミ有料化条例 3月高知市議会代表質問

下本文雄議員
高知市議会では岡崎誠也高知市長が提案した家庭ゴミ収集を有料化する条例改定案への賛否が各会派で拮抗し、条例案の行方は予断を許さない状況になっています。3月11、12日に同議会で日本共産党、市民クラブ、公明党が行なった代表質問のうちゴミ有料化に関する部分の要旨を紹介します。


下本文雄議員(日本共産党) 高知市は革新市政時代の1970年代に直営・無料・市民共同の分別という「高知方式」を確立した。坂本昭市長は「行政と市民が一丸となって減量化と資源化に積極的に取り組む姿勢が必要。減量運動と資源の再利用で焼却炉の負担軽減や最終埋め立て地の節約という大きな効果を生む」と『あかるいまち(1976年6月号)』で説明している。「高知方式」が発展してきたのはゴミをゴミとしない積極的提案、職員と市民が理解しあう共通の土台があったからだ。

所得がいくら低くてもゴミは出る。生活保護基準以下の生活者、医療費が払えなくても容赦なくゴミ代を負担させることに市長はどのような認識を持っているのか。

有料化がゴミ減量のインセンティブ(誘因)になると言うが、ゴミに対する哲学がなく、単に痛みを押しつけることでしか減量を語れない無能力さの露呈であり、家計負担でしか物事を考えない市民が多いという決めつけ、見下しだ。

市長は2006年6月議会で「有料化は市民の合意形成が不可欠」と答弁している。市民の合意形成は達成されたのか。拙速な条例案は撤回し、選挙で信を問うべきだ。

岡崎誠也市長 今後も市民と行政が協力してゴミ減量に取り組むことが重要な市政の課題。 市民が大変厳しい生活を強いられていることは認識しているが、ゴミ減量やリサイクル促進については、すべての市民の協力がいる。市民全員でとりくむべきだ。全国的にも生活保護所帯を減免している市はないのが現状(16日になって8市あったと訂正した)。一人一人に協力してもらいたい。有料化による減量は環境省が有効という方針を示しているし、有料化した自治体では減量につながっている。 説明会をはじめ、様々なところでゴミ減量化や再資源化を訴え、一定の理解を得たと考え、条例案を提案した。今ここで辞任できる状況ではないし、次の選挙に出馬する準備もできていないので残された任期で理解してもらえるよう強く訴えていかなければならない。

下本議員 高知市の市民1人あたりのゴミの処理経費は8122円で徳島市の半分だ。極めて効率的にゴミ収集が行われている。その分市民が労力を提供している。市民に新たに袋代を出させるのはおかしな理屈だ。市長が例に出す岡山市が有料化を始めたのは昨年2月。はじめは減る傾向はどこでもあるし、不況の影響もある。また岡山市はそれまで分別率が高知市とは比較にならないほど低かったが、有料化と同時に分別を強めた。比較する意味がない。金がないのではなく、市長に市民に負担させないという決意がないということが明確になった。



近藤強議員
■近藤強議員(市民クラブ) ゴミ有料化説明会での説明で、有料化の目的について一番重要な視点が欠如している。今の清掃工場は平成14年3月竣工、今年で8年目。建設費総額333億円、財源は国庫補助62億円、一般財源13億円、起債257億円を費やし、起債は3年据え置き15年償還で年間23億円支払っている。

旧工場は昭和55年から平成13年まで22年間稼動した。現工場の耐用年数は建物が50年だが、焼却炉と廃棄物処理施設は7年。毎年実施する定期的整備に加え、7年ごとに大規模改修するのが一般的であり、本市の施設は稼動後8年経過するために大規模改修も加わり、多額の経費が必要で、毎年4億円以上が必要になる。ゴミ処理に多額の経費がかかっている実態を市民に説明し、協力を求めるべきだった。

有料化の年間収入6億円、経費3億円との試算だが、コストに半分もかかるようでは、市民が納得するとは思えない。コスト削減の最大限の取り組みを求める。

岡崎市長 説明会では時間制限もあり、具体的な経費の内容まで説明はせず、ゴミ発生抑制と減量、環境施策における財源の安定的な確保を掲げた。清掃工場には年間4億円の維持管理経費が見込まれること様々な機会を通じて市民に説明していく。

水口俊智環境部長 国産で考えていた指定袋を輸入品にすることを検討し、競争性を高める契約で業者選定を行いコスト削減に最大の努力をする。

近藤議員 有料化の第一の目的が財政再建でなくゴミ減量化なら、財政問題と切り離し、有料化で得た手数料は減量のための啓発や不法投棄防止対策、清掃施設整備のために、積み立てることにして財源不足は他の手段で解消すべきだ。

岡崎市長 手数料はゴミ減量の啓発や不法投棄対策、清掃施設の維持費などに積み立てるなど特定財源として活用するが、ゴミ収集運搬処分には多額の一般財源を投入しており一般財源にも2億円を使う。使わないとさらに2億円の財源不足を手あてしなければならない。(金額は端数省略)



吉田哲男議員
吉田哲男議員(公明) 有料化反対の立場の公明党は、アンケート調査を昨年10月から11月にかけて実施。1200を配布し81・4%の回収率で977の回答があった。有料化賛成が17%、反対が35・8%、条件が整えば認めるという意見が46・3%だった。この条件とは、不法投棄の絶滅ができるなら、収集頻度を増やしたり個別収集をしてくれるなら、生産者にも負担させる制度をつくるならなどが55%を占めており、実現は不可能と判断せざるを得ず、これらを考えると少なくても61・3%が反対ということになる。執行部は市民に一定理解してもらったと言うが、その根拠を示せ。  

ゴミ減量とは家庭ゴミをできるだけ分別し、資源ゴミに出して可燃ゴミを減らすことだが、高知市は19年10月から分別収集に出していた布やプラスチックを、家庭系燃えるゴミに出してもよいといように変更した。これは分別意識の低下につながると危惧している。減量のための有料化という市民への説明とやることが矛盾している。
 岡崎市長 ゴミ減量につながるということで、一定の理解を得たと考える。19年からの家庭ゴミ区分変更はゴミ懇談会で求められたことを参考にして変更した。(2010年3月21日 高知民報)