2010年3月7日

ゴミ有料化条例否決の可能性も 与党会派も批判 継続修正の含み予断許さず 高知市議会

ゴミ袋を使ったプラカードで有料化をアピール(3月8日、高知市役所前)
岡崎誠也・高知市長は3月8日から始まる高知市議会3月定例会に家庭ゴミの収集を有料化する条例を提出しますが、有料化で同市が市民と長年築き上げてきた協働により全国的にも極めて低コストでゴミ収集や分別が取り組まれている「高知方式」が崩れ、不法投棄が増加することなどに関係者の不安は大きいものがあります。議会内では市長与党からも有料化に反対する動きが強まっており、条例案の先行きは不透明で、否決や継続審議になる可能性も出ています。

同市はゴミ減量化を名目に平成23年2月から家庭ゴミの収集袋を指定専用袋として、量販店などで1リットル1円で販売する条例改定案と関連予算を提案する構え。

家庭ゴミ有料化にむけては、市環境部が昨年7月以降、43回の説明会を開催し、1990人と対話しましたが、ゴミの分別徹底や不法投棄の解消に日々携わっている町内会関係者などには依然として有料化を懸念する声が根強くあります。

また、市民生活がきわめて厳しさを増している中で、一律に市民に負担をかけ続ける手法にも強い反発があり、市議会各派も参議院選挙を直前に控え、おいそれと賛成できる状況にないのが実状です。

岡崎市長は当初、過去に箱物を連発した前市政の浪費によって生じた財源不足の穴埋めとして、固定資産税税率引き上げとセットでゴミ有料化を提案していましたが、猛烈な市民の反発で固定資産税増税を撤回し、ゴミ有料化は「財政が目的ではない。減量が目的だ」と説明をすり変えた経緯があります。

しかし、有料化がゴミ減量化につながる根拠は薄弱で、市環境部内にも「リバウンドは必ずある。有料化だけでゴミは減らない。市長が途中で説明を変えたのはまずかった」という声があります。

市議会の状況

日本共産党(8人) 有料化により「高知方式」が崩壊する懸念を一貫して指摘し、ゴミ減量は市民を信頼した協働でこそできると粘り強く活動してきました。

公明党(8人) 2月25日、同市議団は独自に集計したアンケート結果を発表。有料化反対35・8%、賛成16・9%、収入の使途が理解できる、使途戸別収集などの条件が整えば可46・3%というものでしたが、吉田哲男議員は高知民報の取材に答え「この結果からは執行部案に賛成できない。反対する」と述べています。

市民クラブ(10人) 旧社会党系議員らでつくる同派も反対の立場。同派のベテラン議員は「会派の大半は有料化に反対だ。岡崎市長に(条例は)通らないのだから提出するなと言ったが聞かない。大山鳴動してゴキブリも出ない」と与党会派からも厳しい発言が相次いでいます。

新風クラブ、自民党、市民クラブの一部は賛成する見込みですが、現状では反対派が多数で(定数44)、条例案は通過しない可能性が大きいといえます。しかし、公明党が「条件が整えば可」というアンケート結果を示していることもあり、継続審議にしたうえで部分的な修正で通過させる動きが浮上する可能性も否定できず予断を許しません。

可決される見込みが不確かであるにもかかわらず、今議会に提案する岡崎市長の真意をいぶかる声は執行部内にもあり、「あれだけ説明会をやっておきながら、何もできなかったでは引っ込みがつかないのだろう。議会に否決してもらって早く決着をつけたいのかもしれない(執行部関係者)」。岡崎市長がゴミ減量を真剣に考えるというのであれば、きっぱり仕切り直しをして、有料化によらず、市民を信頼した協働をすすめるという原点に今こそ立ち返る時ではないでしょうか。(2010年3月7日 高知民報)