2010年2月21日

歩きたばこ条例 あなたはどう思いますか? 高知市

肩身が狭い愛煙家
昨年の高知市議会12月議会に議員提案され継続審査となっている「高知市歩きたばこ等の防止に関する条例案」(提案者は公明党と無所属の川村貞夫、福島明議員)。議案の行方は定かでありませんが、早ければ3月議会で採決に付される可能性もあります。混雑した繁華街での歩きタバコは危険があり許されないのは当然ですが、一方で条例による規制の実効性への疑問や市政と市民生活に与える負の影響などについてもよく議論する必要があり、慎重な扱いが求められています。

路上の喫煙を規制する条例でもっとも注目されたのが2002年に施行された東京都千代田区の生活環境条例でした。路上禁煙地区(現在は同区の8割以上の面積が該当)の「道路」上で喫煙した者から、その場で2000円の過料をとる罰則を科しています。罰則導入は全国初のケースであり、区議会では条例案の採決時に共産党が罰則を外す修正案を提出し、全国的にも賛否が渦巻きました。

条例施行後、同区は土日曜を含む毎日、区職員による巡回パトロールを実施して違反者を摘発。路上に捨てられた吸殻が減るなどの効果があらわれているとされていますが、摘発には限界があり形骸化しているという指摘もあります。

千代田区の条例では歩行・停止にかかわらず「路上」での喫煙が禁止されていますが、公園など道路外であれば喫煙可能であることから、喫煙場所に困った愛煙家が公園に大量に集まってくるために子どもの遊び場がなくなり、区が喫煙場所設置を求められるような事態になっています。

高知市議会に提案された条例の名称は「歩きたばこ」とされていますが、実際には「路上」だけなく、禁止区域内の公共の場所、道路、公園、広場など一般に開放された場所での喫煙を歩行、停止のいずれも禁じようというもの。

ただ、条例に罰則はなく、違反者に「指導勧告をすることができる」とあるだけ。携帯用の灰皿を持って立ち止まれば禁止区域内であっても喫煙が可能であるなど、実効性には疑問符がつきます。一方、市役所に「喫煙している」という苦情や訴えが増加することも予想され、対応を迫られる市役所の煩雑化、市民相互が話し合いとモラルで解決するより相互を監視して行政に懲罰的な手法で処理をゆだねるような風潮を強める恐れも内包しています。

条例案を提案した川村貞夫議員は「禁止区域は帯屋町周辺など中心街だけになるのではないか」と限定的であることを強調。条例案を知った市民からは「歩きタバコがいけないのは分かるが、それより先に帯屋町アーケード内の自転車をなんとかしてほしい」、「喫煙する場所を用意しないまま、ただ規制するだけでは実効性がない」などという声が出ています。(2010年2月21日 高知民報)