2010年2月14日

コラムアンテナ 「さらば古き自民党 小泉進次郎は自民党再生の旗手か?」

小泉進次郎衆議院議員(2月14日、高知市)
「さらば古き自民党」―。小泉純一郎の次男である小泉進次郎衆議院議員が2月14日に来高し、県民に訴える機会があった。

「NEXT JIMIN なまごえプロジェクト」自民党青年局・女性局主催。同党の青年・女性党員と膝を突き合わせて対話し「青年と女性の力で自民党を変える」、さらに街頭演説で政権奪還への決意を訴えるというもので、参院選1人区全国29県を回る予定だという。

自民党の新しいスターである小泉進次郎議員をむかえ、新阪急ホテルで対話集会を開催し、高知市中央公園とひろめ市場前で街頭演説に取り組んだ。

小泉議員は眼光鋭く、父親譲りの人を食ったような演説はとても28歳とは思えない堂々たるもの。中央公園の演説終了後はタレントさながら握手を求める大勢の女性が殺到する光景がみられたが、肝心の訴えの中身にはかなりの疑問符がついた。トリック・スターの素質は十分だが、果たしてこれが自民党再生につながっていくものなのか。

小泉議員は鳩山政権の子ども手当てを「こんなバラマキ政策は世界中どこにもない」と厳しく非難。現金で給付しても子育てに回るとはかぎらないので給食費や修学旅行費無料化など保護者負担を軽減する制度を充実させていくべきだと強調した。

保護者負担を軽減する制度充実が求められるというのはそのとおりだが、小泉議員の父親がすすめた「構造改革」で国民に痛みを押し付け、教育費高騰、貧困世帯を激増させ、子育て環境を破壊してきたことへに反省めいた言葉がみじんもないことには驚かされた。

今頃になって、よくも「給食費無料化」などと言えたものであるが、自民党が本気で子育て支援の制度を充実させようと考え方を変えたのであれば、「小泉改革」と決別するための底を突いた議論で反省しなければならない。

さらに小泉議員は次世代にツケをまわす現金のバラマキ支給はまかりならんという角度で子ども手当てを批判したが、麻生内閣時代に選挙目当ての「究極のバラマキ」と極めて評判が悪かった「定額給付金」については、忘れたのかのように見事に何も言及しなかった。いくら弁が立っても、こんなご都合主義は通用しない。

自民党の従来のイメージを「考えが古い、頭は固い、若手の意見は聞かない」と評しつつ、自身が議員になってみると「28歳の若輩者にこうやって好き勝手発言させてもらえる。恐怖政治で何もいえない民主党とは違い、自民党には自由がある」とも繰り返した。今、民主党内で小沢一郎幹事長への批判が起こらないことの異様さは言うまでもないが、元首相の二世議員にそのようなことを言われても説得力はない。小泉議員が一介の無名議員なら同じ扱いがされるのだろうか。対話集会では聴衆から「もっと光る政策をつくってほしい」という指摘、「一番大事な自民党再生のための議論がないじゃないか」という不満の声も聞かれた。

結局のところ「自民党を変える」といい看板をかけ替えても、これまでの自らの政策への反省も、今後めざす政治の方向性も定かでないまま。民主党批判なら何でもありの「為にする」方便を繰り返しているだけでは、党再生の道のりは遠い。(N)(2010年2月21日 高知民報)