2010年2月14日

分別意識にかげり? プラゴミ不適物混入率が増加 有料化説明会と同調 高知方式瓦解への警鐘か

不適物の除去は手作業で行なわれる(菖蒲谷減容工場)
高知市が計画している家庭ゴミ収集の有料化にむけた説明会と軌を一にして、菖蒲谷プラスチック減容工場(※)に持ち込まれるプラスチックゴミの分別状況が悪化する数値が出ていることがこのほど分かりました。「有料化議論の中で、分別に協力しようという市民意識が低下しているのではないか」と市環境部など関係者に波紋を広げています。

この数値は毎週水曜日にゴミステーションから回収してきたプラスチックゴミを、不適物の除去作業前の段階で市環境部が独自に抜き取りサンプル調査したもの。

菖蒲谷工場には本来、リサイクルにまわすことができるプラスチックゴミだけが分別され運ばれてくるはずですが、実際にはリサイクルできないプラスチック製品やビン、カン、汚れたビニールなどの不適物が相当量混入しています。

「手作業で不適物を除去しているが、到底全部を取り除くことはできない。不適物の混入率を下げて純度を上げるには市民の協力にかかっている」(市環境政策課)

連続的に数値悪化

過去の不適物混入比率の数値を見ると平成19年末以降は、上下動を繰り返ながらも、およそ20%を前後する水準がキープされていることが分かります。(表参照)

ところが、市環境部が家庭ゴミ有料化に向けた説明会(21年7月14日から10月26日まで43会場、さらに10月14日から12月10日まで31会場、1990人が参加)を開催しはじめた時期と重なるように、連続的にで数値が悪化しました。これまでは数値が上がったり下がったりすることはあっても、連続して低下したことはありませんでした。

「サンプル調査なので要因は今の段階では何ともいえないが、2回連続下がっていることはやはり心配(環境部関係者)」という声があがっています。

有料化への議論がすすむ中で、市民に「どうせ有料化されるなら金で解決すればよい」というような意識が生まれてくることは当然予想されること。ゴミの再資源化に最も重要な分別意識の低下は、プラスチックゴミだけに止まらず、資源ゴミの分別収集にまで悪影響を及ぼすことは必至です。

岡崎誠也・高知市長は3月市議会に「ゴミの減量化」を目的に有料化条例を提案するとしています。プラスチックゴミの不適物混入率の上昇は、有料化によってゴミ減量化どころか、他市と比べて市民の協力で低いコストで取組まれている高知市のゴミ収集システムを瓦解させることへの警鐘ではないでしょうか。

※回収されてきたプラスチックゴミから不適物を手作業で除去し、10分1程度に容積を圧縮してブロック状に梱包したものを田中石灰工業や新日本製鉄に出荷している。出荷されたプラスチックは再度製品化されたりコークスの代用品として利用されているが、不適物の混入が多いと業者に引き取りを拒まれてしまう。(2010年2月14日 高知民報)