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「人権教育」の提案授業を見学する教員 |
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高知市教育研究会(前田志郎(追手前小校長)会長、以下市教研 ※1)が1月20日、高知市内で開いた教科外部会で、人権学習指導案として校区内の旧解放子ども会(※2)と、それ以外の子ども会との「違い」を児童に教え込もうという授業が提案されました。「違い」を強調し、教育の側から壁をつくる授業には見学した教員から「具体的に何を学ばせたいのか。かみ合っていない」という意見が出されるなど戸惑いもみられました。
教科外部会は市内各学校に一斉に分散して特別活動、図書館教育、進路指導、生活指導、視聴覚教育、教育相談、学校給食などの課題で研究活動が取り組まれ、人権教育部会では、「子ども会」を題材に小学校高学年を対象にした授業が、同部会に所属する教員40人が見学する中で提案されました。
授業テーマは「○○子ども会(旧解放こども会、実際には実名)について知り、自分たちにできることを考える」。指導の留意点は「○○子ども会とそれ以外の子ども会の違うところを確認する」などとされています。
クラスでは、この日までにクラス内で子ども会ごとに発表をさせ、子ども会所属が子ども同士に判別できる状態にしておいた上で、教員が授業で「○○子ども会だけ、少し違うということに気が付きましたね」などと繰り返し、ことさらに「違い」を強調しました。
授業後の意見交換会では「子どもには難しい。何を学ばせたいのか。かみ合っていない」という意見が出され、雑談の中では「何十年も前と同じ。まだこんなことをやっているのか」、「こんな授業ならやる必要ない」などという声も聞かれる一方、「中学校での『核心指導』(賎称語を教える)への土壌を耕す実践に感心した」と高く評価する教員もいました。
※1 市教研 高知市内の大半の教職員が参加して授業研究を中心に取り組んでいる団体。事務局は市立教育研究所内、会員が納める年会費(1500円)と、市教委の補助金288万円(2009年度)などで運営される官製研究会で、行事は校内研修として教職員が公務として参加。
※2 解放子ども会 部落の完全解放を担う人間をめざすことを目的にする「部落の子」で組織される子ども会。
解説 提案授業で強調された旧解放子ども会と、それ以外の子ども会との「違い」。この日の段階では遠まわしにしか語られていませんが、「違い」とは、「部落差別を受けてきた子ども会」であるということに尽きます。
このような授業が市教研の場でモデル的な実践として今日も提案されていることは、平等を教えるはずの人権教育の場で、教育が「違い」をことさら強調し、同和問題の壁を再生産して子どもに注入する「解放教育」の残滓が、高知市の教育現場にいまだに根強いことの表れといえます。
最大の問題点は、子どもや保護者の考え方とかかわりなく、教員が授業を通じて、学校教育とは別個の営みである旧解放子ども会に属する子どもを一方的にクラス内で公表していくこと。かつてまかり通っていた教員による児童への「立場宣言」の事実上の強要と同質の性格を帯びるものです。
同和教育に詳しい市教委関係者は「このような実践は聞いたことがない。この子ども会が、被差別の立場にあるだけにとどまらず、差別をはねかえしていく運動に取組んできたことも教えねばならない。提案授業は高知市教委の人権教育の流れの中にあるものだと思う」と「被差別の立場」を教えることに問題はないという認識を示しました。(2010年2月7日 高知民報) |