2010年1月24日

米ミサイル巡洋艦がまた宿毛へ 核搭載可能艦レイク・エリー 県は外務省に核の有無照会

米ミサイル巡洋艦レイク・エリー(米海軍公式サイトより)
高知県は1月12日、米海軍ミサイル巡洋艦レイク・エリー(CG70)が2月1日から5日まで宿毛湾港への入港を予定していることを公表。同県は高知県議会の非核港湾決議(※1)にもどづいて外務省に核兵器搭載の有無を紹介し、核搭載がないと判断されれば岸壁の利用を許可する方針です。2006年以降、県内港湾への米軍艦入港の動きが頻発しており、県土軍事化の既成事実化が進行しています。

レイク・エリーはタイコンデロガ級のミサイル巡洋艦でイージスシステム(※2)、スタンダードミサイル(※3)や核弾頭装着可能なトマホークミサイルを装備する最前線で任務にあたっている艦。過去に宿毛湾港に入港したラッセル(2006年)、オカーン(2008年)は8000トン台の駆逐艦でしたが、レイク・エリーは10000トンクラスで艦体が一回り大きくなります。宿毛湾港直前の寄港地は横須賀。

現在、鳩山政権は歴代日本政府が核兵器搭載米艦の寄港を密かに認めていた「核密約」解明をすすめている最中であり、これまでの「米軍は水上艦艇に核兵器を積まないことにしている」という理由だけは核兵器を積んでいないということにはなりません。核兵器搭載能力を持つレイク・エリーの核兵器不搭載を、どのような理由で政府が判断するのか注目されます。

きわどい喫水

レイク・エリーの宿毛湾港入港にあたって問題になるのは港の水深。米海軍側から海上保安庁に提出されている入港通報にはレイク・エリーの喫水(※5)は10・4メートルと記載されています。
県港湾課は「宿毛湾港の岸壁の水深は13メートルだが、航路や泊地には10メートルしかないところがあり、実際には喫水を9メートル程度に調整することが必要。このことは米軍にも情報提供している」。

また同港は防波堤が未完成であるため、静穏度が低いことも悩みの種。冬型の気圧配置になると、強い西風で海面が荒れることが予想されます。2006年には波浪で停泊中のミサイル駆逐艦ラッセルが係留ロープを切るトラブルも発生しています。

このようにレイク・エリーの宿毛湾港への入港は、物理的にはきわどい入港になることは必至。米軍にとって決して使いやすい港ではないにもかかわらず、度々入港してくるのは、「リマ海域」(※6)に近いことがポイントになっていると考えられます。レイク・エリーの宿毛湾港入港に対し、県平和委員会(徳弘嘉孝代表)と県平和運動センター(山崎秀一代表)は県への申し入れ、宿毛市での宣伝行動、入港当日の抗議行動などを計画しています。

和田忠明・県平和委員会事務局長の話 宿毛にどうして何回も来るのか、港の調査ならすでに十分なはずだ。リマ海域での演習とのかかわりがあるのではないか。

※1 「高知県の港湾における非核平和利用に関する決議」。1997年12月県議会で全会一致で決議。
※2 高性能レーダーとコンピューターシステムで他艦と連動して敵ミサイルを打ち落とす迎撃システム。
※3 弾道ミサイルを打ち落とす「ミサイル防衛計画」(BMD)で使用される。
※4 標的まで誘導しながら飛行する巡航ミサイル。核弾頭積載可。
※5 船の水中に沈んでいる部分の深さ。
※6 足摺岬沖70キロメートルにある米軍演習海域。周辺はカツオの好漁場のため漁業関係者から撤廃要求が強い。(2010年1月24日 高知民報)