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シティタワー高知火災で救助活動にあたる「りょうま」(12月2日) |
12月2日、高知市の建設中の高層マンションで犠牲者が出る痛ましい火災が発生したが、ここで県消防防災ヘリコプター「りょうま」が逃げ遅れた労働者18人をピックアップして救助した光景を目にした人も多いだろう。
高知県民の生命を守るためになくてはならない役割を果たしている「りょうま」であるが、年間2カ月間ほどは耐空検査を受けるために飛行できないため、県は「空白」を埋める2機目のヘリ導入を検討している。今の流れでは国が誘導策をとっている「ドクターヘリ」になる可能性が高い。
「ドクターヘリ」はヘリポートのある救急救命センターに設置され、ヘリ内部に医療機器を設置し、専属のフライトドクターやフライトナースを着陸できる現場まで運び、患者を病院に搬送する。患者のいる現場が着陸できる場所であれば、その威力は絶大だが、人を吊り下ろしたり、吊り上げたりすることはできないので、着陸できない現場では使いものにならない。
高知県内でヘリポートを設備した救急救命センターは高知医療センターだけしかないので、配備するとなれば同センターになる。同センターの医師にもやりたいという思いがあるようだが、前述したような中途半端さもあり、外国や北海道のような広々としたところならばともかく、山ばかりの高知県では、その有効性には疑問も残る。
一方で高知県消防防災航空隊は、ヘリが常駐している高知空港と同センターが近いという条件を生かし、空港から飛んだ「りょうま」が、同センターで医師を積み込んで現場に急行。着陸ができない現場でも、ドクターを吊り下げて降下させたり、患者を吊り上げて収容するという消防防災ヘリの「ドクターヘリ的運用」を全国に先駆けて実践。ヘリが着陸できない林業の現場や山岳遭難などで、ある意味「ドクターヘリ」以上のことを、ほとんどコストをかけずにやっている。全国的な比較で「ドクターヘリ」未配置県として高知県があげられ、まるで後進県のような扱いをされることがあるが、これはとんでもない誤解だ。ただし耐空検査期間の空白時には、県外の航空隊に応援を頼んでいるという実態が依然としてあり、この解決が求められていることは間違いない。
消防防災航空隊の関係者には「ドクターヘリより2機目の消防防災ヘリを入れるべきだ」という意見が強い。確かに話を聞いているとそのほうが高知県の実情にあっているようにも思える。しかし今の補助制度では「ドクヘリ」の費用は国が2分の1を助成し、県負担は年間8500万円となるが、消防防災ヘリ導入には特段の助成措置はない。
東西に長大で、広い太平洋を抱える高知県にとって、2機目のヘリはどうしても必要だが、その機種が「ドクターヘリ」なのか、消防防災ヘリなのかは地域の実情にあわせて各県で判断できる補助制度にすべきではないか。県も「地域主権」を掲げる新政権に、そこをアピールしてもらいたいが、当面は現在、専門家を集めて取組んでいる「ドクターヘリ導入検討委員会」で、よくよく現場の声を聞いてもらいたい。拙速に結論を出し、将来に禍根を残すことだけは避けなければならない。(N)(2009年12月13日 高知民報) |