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来春オープンにむけて |
平成22年4月に完成が予定されている「高知市総合あんしんセンター」の実態は、市民が利用することのない市庁舎+医師会等の民間団体が複合したものであることが市民に知られつつあるが、「なぜこの時期に莫大な費用をかけてまで建てなければならないのか」という思いがぬぐえない。
改めて同センターの概要を紹介する。メインの本館は5階建て床面積12200平方メートル。
1階 保健所事務室、休日夜間急患センター、歯科保健センター、調剤薬局、日赤県支部など
2階 保健所検査室・相談室、歯科医師会館、薬剤師会館、放射線技師会、栄養士会、臨床検査技師会
3階 准看護学院(医師会)、会議室
4階 医師会館、救急医療情報センター
5階 災害対策本部、危機管理室、消防局通信指令室
総工費は予算ベースで50億円。10億円を県医師会など3団体への分譲代金でまかない、5億円は中心市街地活性化法にもとづく国補助金。30億円を合併特例債で借り、残りは市単独負担となる。
同センターで市民が利用するのは1階の休日夜間急患センター、歯科保健センター、薬局が主だが、医師会、歯科医師会、薬剤師会が行政の委託を請けてそれぞれ運営されているものが移転してくるに過ぎず、莫大な税金を投入するメリットが市民にあるとは思いづらい。
他は基本的に市役所と団体のオフィスであり、市民が利用する余地はない。センター建設にかかわる幹部も「あんしんセンターという名前は市民が利用する施設のようなイメージがあるが、実際は丸の内庁舎だ」と言う。
最初から「丸の内庁舎建設」という言い方をしていれば市民の反応も異なり、このような形での建設は難しかっただろうと思うが、その意味ではハコモノの推進にとっては「絶妙」のネーミングだった。しかし、市財政が破綻寸前であるからと弱者の国保料減免の廃止、追手前小学校の耐震工事費が捻出できないからと廃校にし、増税、ゴミ有料化で市民負担を求めようという時に、一方でデラックスな豪華新庁舎建設では市民は納得すまい。「かるぽーと」建設にいまだに強い批判があるように、「あんしんセンター」の実態を市民が知れば、批判が噴出することは想像に難くない。
完成まで半年を切った今となっては手遅れだが、保健所が提供するサービスで最も市民のニーズの高い健診事業などのスペースを十分とったワンストップ・サービスの拠点として保健所を市民本位に整備するならともかく(健診は塩田町の保健福祉センターに残され保健所本体と分離されてしまう)、民間団体との雑居により中途半端な感は否めない。整備を消防通信司令室など急がれる最小限の施設にとどめるという選択もあったはずだ。
結局、残るのは30億円もの借金。中活法による国補助金も政権交代によって先行きは一層不透明で、法指定を前提に先払いされている補助金を、最悪の場合は返還しなければならないというリスクまである。関係者の話を聞くほどに「なぜこの時期に・・・」という思いを拭い去ることができないのが残念だ。(N)(2009年11月29日 高知民報)
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