2009年11月8日

後期高齢者医療 短期証720人 10・26通達市町村に徹底を 資格証明書出させぬ運動重要

後期高齢者医療制度の被保険者で、有効期間が1年間の正規保険証ではない短期保険証を交付されている高齢者が県内で720人(10月19日現在)にのぼることが判明しました(県後期高齢者医療広域連合調べ)。市町村別の交付数は別表参照。

新政権が公約した同制度の撤廃を求める運動強化と同時に、一定期間残存する可能性が高い同制度の中で、保険証を取上げ、国民が医療を受ける権利を奪う資格証明書を発行させない取り組みが高齢者の命を守るために大切になってきています。

同広域連合によると、現在県内で交付されている短期証はすべて3カ月証で、国民健康保険で乱発されている1カ月証や、資格証明書は現在は発行されていません。

短期証が交付されている県内の被保険者は、前年中に保険料の滞納が10分の3以上あった者で、同広域連合として統一的な運用をはかるために機械的に発行されており、市町村の判断は入っていません。

しかし、このようなかたちでの3カ月証の交付は2回まで。来年2月以降は「悪質滞納者」として、資格証明書が発行されるおそれがあります。同広域連合では「国保のように市町村まかせの対応はしていない。@保険料減免を受けている低所得世帯、A医療にかかっている場合には、滞納してもやむを得ない特別な事情があると考えられ、直接調査をして悪質滞納者であることが確認できなければ資格証明書は出さない。意識的に保険料を払いたくないという一部の人しか資格証明書は出ないはず」としています。

しかし、実際に被保険者と接する市町村窓口には「役場の窓口に高齢者が出向いてこなければ悪質滞納者とみなす」というような高圧的な認識がまだ色濃く残存しており、水際の対応次第で、本来保険証が交付されなければならないにもかかわらず、資格証明書にされてしまうケースが出る危険があります。

10月26日、厚生労働省は「資格証明書を原則として交付しない」ことを基本方針とする通達を出しました。この通達を市町村に繰り返し徹底させ、高齢者の医療を受ける権利を保障する取り組みを、同制度の早期撤廃を求める運動と一体になり強めることが重要になっています。

資格証明書 医療機関の窓口負担が10割負担になる。保険料滞納分を支払った後に、保険適用分が返却されることになっているが、高額な窓口での負担が支払えないために、病気になっても病院にかかれなくなってしまう。資格証明書発行には「金がなければ医療にかかれない」という状況を行政側がつくる国民皆保険制度の根幹に関わる重大な問題がある。(2009年11月8日 高知民報)