2009年11月8日

「4000食では本当の食育できぬ」 統合給食センター反対の声急速に広がる 香南市

「子どもの近くで作ってこそ食育」と訴える母親(10月26日 夜須公民館)
香南市ですすめようとしている野市・香我美・夜須の給食センターを統合した4000食の県内最大の新給食センター建設(ルネサステクロノジ高知事業所の駐車場が予定地)にむけた市側の説明会が同市内で4回開かれました。市側は、これで保護者・住民への説明を終え、同市統合給食センター検討委員会の検討を経たうえで、年度内に最終的な結論を市長が下すとしていますが、夜須地区を中心に拙速な統合ありきの市の姿勢に納得しない保護者の声がひろがりつつあり、同センター問題が同市の重大な政治問題に浮上してきました。

10月26日に夜須公民館で開かれた説明会には保護者や地域住民約50人が出席。「香南市のすべての子どもに同じメニューの給食を食べてもらうことが大事だ」と繰り返す市側の説明に、保護者が納得せず、強い不安の声が出されました。

「作る人の顔が分かり、調理のにおいが漂うのが本当の食育だ。なんで香南市の子どもが全員同じものを食べなければならないのか。それぞれの地域でおいしいものを食べればよい」と母親が涙ながらに訴える場面も。

また夜須小の保護者であり旧夜須町前町長・清藤真司県議(同市選挙区出身)も、統合センターに反対する立場から発言し、「子どもにとってのメリットがない。あるなら教えてほしい」、「住民に情報が示されないまま、計画の理解を求めるだけの説明会になっている。住民自治に一番大切なのは意思決定の過程での住民参加ではないのか」と市の対応を批判しました。

説明会には同市財政課長が出席。「統合ではなく既存のセンターをそれぞれ整備しても、市が財源として見込んでいる合併特例債は使えるはず」という指摘を念頭に、「各施設をそれぞれ整備した場合に合併特例際が使えるかどうかはまだはっきりしていないが、もし特例債が使えたとしても、会計検査を受けなければならない。『市内にいくつもセンターがいるのか』と聞かれたら説明できない」という見解を示しました。

新統合給食センター建設に対しては、これまで反対の立場で論陣を張ってきた日本共産党行香南市議団、民主党市議に加えて、現職県議の清藤氏が公然と反対を唱え、住民組織「香南市の給食を考える会」(江本美江代表)の結成、夜須小PTA、香我美小PTA有志での反対の動きなど運動が急速に広がっています。

夜須地区の説明会に参加した母親は「食は命、学力や体力の基礎になるもの。説明会に来て計画のひどさをはじめて知った。4000食の中身は建物をたててから考えていくようでは給食工場になってしまうのが心配」と話していました。(2009年11月8日 高知民報)