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来年2月から入居が始まる潮江市営住宅 |
平成22年2月に入居が始まる高知市営住宅「潮江市営住宅」(同市小石木町)の入居者の募集が10月20日から23日まで行なわれますが、同市住宅課は同住宅の募集情報を市広報に掲載し、広く市民に周知しました。市営住宅の募集方法としては当然のことですが、この住宅の前身が同和公営住宅であったことから、今回の措置は大きな意味を持っています。
同和公営住宅は、旧同和地区に住む生活困窮者への住宅提供を目的にした福祉的要素の強い住宅ですが、市住宅課は老朽化のため昨年から旧住宅を解体し、鉄筋コンクリート5階建(42戸、エレベーター、電化住宅あり)の新住宅へ建て替えをすすめていました。
そこで問題になってくるのが入居者の募集の周知方法。旧同和住宅では一般の市営住宅とは異なり、現在でも入居者の公募情報を、広報「あかるいまち」には掲載せず、旧同和地区だけに配布される「市民会館便り」で周知する方法をとっているため(部落差別が今日も根強く旧同和地区住民が厳しい状況にあるための「一定の措置」というのが理由)、今回の新住宅の公募情報が広報に掲載されるか否かは、今後の高知市の同和行政のあり方にかかわるものとして注目されていました。
同和行政を根拠付ける法律が失効している中、一般の市営住宅として国の補助金を使って建てる住宅の入居募集の情報を、市民に「平等」に周知することは当然ですが、昨年の段階で市住宅課は「公募の方法はまだ未定」と即答を避け、態度を明らかにしていませんでした。この対応は同和団体からの反発を回避する狙いがあったと思われ、結果的には公募を広く市民に周知するという当たり前の線に落ち着きました。
吉永清次・同市住宅課長は「同和住宅という考え方ではなく、公営住宅法によって一般の市営住宅を建てるものなので、募集のお知らせを市民に広く周知することは当然だ」とコメントしました。
高知市は現在、潮江市営住宅以外の旧同和向け住宅の建て替え計画を持っていませんが、住宅の老朽化が進行していることもあり今後建て替えがあった場合には、今回と同様に募集情報を広く市民に周知する方法がとられることになります。(2009年10月18日 高知民報) |