8月7日に高知市立小高坂市民会館(隣保館)で開かれた「人権・確認学習会」(高知市人権施策推進本部主催)の問題点を市議会で正すために日本共産党の下元博司・高知市議が9月市議会の本会議質問で取上げることを執行部に通告し、調査をしている最中に、重要な物証となる録音記録を同市同和・人権啓発課が故意に消去していたことが分かりました。これは議員の調査活動への妨害行為であり、波紋を広げそうです。(「学習会」の内容は8月16日号で既報)
下元議員は9月17日、@市は学習会と称しているが実態は解同の糾弾会であること、A市が言う消防局にある差別体質とは30年前の噂話にすぎないこと、B講師役の森田益子・解同市協顧問が、特定の市職員の職名と実名を明らかにして旧身分を暴露する発言をしたことなどを正し、勤務時間中に165人の幹部職員を総動員し2時間半にわたって「学習会」を開いたことは「131万円の人件費がかかっている。税金の無駄遣いだ」と指摘する内容の質問を行いましたが、この質問の準備の過程で学習会の内容を正確に把握する必要性があったことから、8月中旬から再三、録音記録を聞きかせるよう古味勉総務部長、近藤昭仁市民生活部長らに要請していました。
市は市主催の勤務中に開かれた学習会であると主張し、220人の解放同盟員が自由に参加して、報道機関にもオープンにされた場での「講演」であることから、議員から議会質問の準備のために聞きたいという要請があれば、断ることができるような性質のものではありませんが、市側には「音声だけは聞かせられない」という態度がありあり。強く難色を示し、下元議員から「それなら開示請求をかける」という指摘を受けて「検討させてくれ」と対応に往生していた最中、質問直前の9月11日に上野昇一・同和・人権啓発課長が部下に指示して録音を消去しました。
9月17日の市議会本会議では古味総務部長が録音を意図的に消去したことを認め、「講演の要約をつくるための補助的な記録なので、要約ができた段階で消去した」と答弁しました。
議員の最大の任務は市民の代表として市政をチェックすることであり、議会質問はその中でも最も重要なもの。質問準備のために議員が要請し、やりとりをしている最中に、一方的に録音記録を消去することは、「証拠隠滅」、議会の調査権への妨害であり、重大な問題があります。このような不可解な対応は他のセクションでは考えられず、高知市の同和行政の歪みを象徴するものであるといえます。
日本共産党の岡田泰司議員は9月18日の本会議質問の中で「事実確認の必要から学習会の内容を聞かせてほしい、録音記録の確認、保存を求めていたが、処分をした旨の答弁があった。破棄は証拠隠滅ともとれるものであり、議員の調査権の侵害、妨害だ。これでは問題点を追及し、調査することができない。公文書廃棄の疑いももたれるものだ。議長において厳正な調査、措置を求める」と指摘しました。(2009年10月4日 高知民報) |