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8月28日、高知市中央公園で演説する小沢民主党代表代行 |
高知県政の目玉。尾崎正直知事の肝煎りで強力に推進されている県産業振興計画にかかわる県職員と話しをする機会があった。産業振興計画をはじめとする尾崎県政のスタンスの基本は、自民・公明政権の政策を前提にして、そこから「いかに金を引っ張ってくるか」が問題意識としてこれまで大きなウエートを占めてきた。
その産振計画と地産外商公社がいよいよ始動し、これからという時の「政権交代」。これまで国が打ってきた施策見直しや凍結がありうる事態に県庁には激震が走っている。
この職員は産振計画について「県政の最重要課題であるから、国の動向がどうなろうとも、第一義的課題として取り組む」と政権交代の影響は受けないことを強調したが、その一方で「(民主党政権下では)どう考えても高知県にくる金は減る。増えることはない」と強い不安感を口にした。
9月2日の記者会見で尾崎知事は「民主政権にあるのは期待か不安か」と問われ、苦笑しながら「もう民主政権になることは決まった。新政権にはかんばってほしい」と、不安感を隠さず、地方の実態と遊離する傾向の強い民主党に繰り返し注文をつけたのが印象的だった。
今回の総選挙は有権者の投票で、長期に続いた自民党政権を崩壊させたというドラマティックな結果となったわけだが、少なくとも高知県ではそのような高揚感を感じることができず、冷ややかな受け止めをしている人が多いのではなかろうか。県庁幹部のみならず、多くの県民も同様の感覚を持っているように感じる。
選挙最終盤、民主党のキングメーカー・小沢一郎代表代行が高知市中央公園で演説した。聴衆は数千人で、よく集まっていたが、小沢氏を遠巻きにこわごわ見るような感じで、その異様ともいえる静さに面食らった。中曽根康弘、土井たか子、小泉純一郎など過去に「山が動いた」時のような爆発力は皆無で、「革命前夜」の熱気はみじんも感じられなかった。
この奇妙な感覚にこそ、今回の高知県の有権者の思いがこめられているように思う。民主党には流されず、かといって橋本大二郎でもなく、全国的な大波とは正反対のまさかの自民党独占。当選した自民党議員はくれぐれも、本当に支持されたわけではなく、県民の絶妙なバランス感覚の上の「究極の選択」であったことを、よくよく理解しなければならないが、当確直後の高知3区・山本有二氏の異様なテレビ・インタビューには神妙さなどひとかけらもなく、早々と増長しまくっていたのには驚かされた。
次の参議院選挙まで1年を切っている。「政権交代」はもうやってしまったので、民主党は次の選挙でもうこれは使えない。政権党として取り組んできた政治の中身、事実を有権者が評価する選挙に必ずなるはずだ。その時に有権者の判断に応えられる政党はどこなのか。たたかいはもう始まっている。(N)(2009年9月13日 高知民報)
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