2009年9月13日

民主新政権へ不安感にじむ 学テ見直しには強く反発 尾崎高知県知事
新政権についてコメントする尾崎知事
尾崎正直県知事は9月2日の定例記者会見で、民主党新政権に対し「独りよがりではなく地方の声を良く聞いて高齢化、人口減への対策にしっかりとりくむべき」とコメントしました。また「全国学力・学習調査」については、小学校の全国順位が下がったことを強く叱責し、民主党が同調査を見直す姿勢を示していることに「上から目線だ」と強く反発。現状のままの悉皆(しっかい)調査実施の継続を求め、仮に国が調査を見直した場合には「県費を投入してでも県独自でやる」と述べるなど、新政権への不安感がにじみ出る会見でした。知事の発言要旨は以下。

選挙結果について 全国的に閉塞感を持った国民が新しい動きに期待した。小選挙区の特徴が出て、選挙のたびに政権交代が起こりうる国になってきた。東を向いているのが、いきなり真西を向くと国民、自治体は混乱し、外国に信頼してもらえない。基軸となる政策は共通でありながら、一部の意見が異なるという政権選択が行なわれていくようになるだろう。

高知県の小選挙区には全国とは違う風が吹いた。きわめて状況が厳しい中で前職の実績が評価されたのだろう。野党であっても経験と実績のあるほうがより頼もしいと思った人が多かったのではないか。

基軸とは 私の立場から言えば地方の再生。人口減、高齢化は国家的な全国的な課題。どんな政権でも、しっかり取り組むべき。新政権は「地域主権」と言っているので、しっかり確立してほしいが、中央で考えた独りよがりでは困る。しっかり地方の意見を聞いてもらわなければならない。

補正予算の執行停止  地方自治体が必要と判断し、議会にはかって議決され執行しているものを、途中で金を取上げたるのは、あまりにも乱暴。一定の配慮があると信じている。年度内に予算を成立させ、新年度から速やかに執行してほしい。無駄の排除は大切。徹底して無駄を排除すべきだが、ただ中央から見て無駄でも地方は全然無駄ではないということはあるので、よく地方の声を聞いて判断してほしい。

暫定税率廃止で道路予算が減る恐れ 心配はあるが、無駄の排除、重点化・効率化を徹底すれば、すでに十分なインフラがあるところより、本県のように何もないところに手厚くなると思っている。そこを説得的に提言していく。

全国学テの結果 中学校は引き続き厳しいが、少し希望が見えてきた。よくなる方向へ歩み始めたが、全国最下位レベルであることに変りはない。徹底して結果を分析して、いまの取り組みで十分なのかを見直していくことが必要。

小学校。これだけ学力向上に取り組んできているにもかかわらず、悪くなった。非常に残念だ。この結果を真摯に反省して、今後どう取り組むのか考え対策をとることが大切だ。

学テ見直しについて 民主党が悉皆調査をやめて抽出にするという報道がある。私は全国学テは継続的に続けるべきだと思っている。国レベルでは抽出で十分なのかもしれないが、県レベルで地域の学力の状況を把握するには悉皆的な調査が必要。現実に地域によっていろんな差がある。抽出でよいというのは全国視点、上から目線。それではダメだ。メッシュの細かい悉皆的な調査が必要だ。新政権がどういう結論を出すのかまだ分からないが、仮に行なわれなくなったり、抽出にとどまっても、学力を細かく把握し、外部との比較の視点で時系列的に把握することは極めて大切なので、高知県として独自の対応策を講じていく。

調査の費用対効果や調査の弊害について 結果を徹底的に分析して対策を練っているのでB/Cが合わないとは全然思っていない。県費を使ってでもやるべきことだ。序列化の弊害というが、どこでどのように出ているのか理解できない。(2009年9月13日 高知民報)