2009年9月6日

「依然として厳しい」 中沢高知県教育長 学テ結果を公表 最後の悉皆(しっかい)調査?

 全国学テの結果を報告する中沢卓史高知県教育長
3回目の「全国学力・学習状況調査」(4月21日実施)の結果が8月27日に公表され同日、中沢卓史・高知県教育長が高知県内の状況について県庁内で報告。「依然として厳しい状況ではあるが、中学校で成果があがっている。小学校では少し残念な結果になった」というコメントを発表しました。

今回の高知県の「学テ」結果は、中学校では正答率がやや全国平均に近づき、小学校では正答率を伸ばしながらも、全国の伸び率より遅れたため全国平均との距離が広がり、順位も下がりました。

しかし、@難易度の異なる昨年のテストと正答率を比べてもさしたる意味はない、A正答率の全国平均との差は概ね数%にすぎない、B今回の「調査」にあたり「締め付け」がきびしかった中学校で教員の「テスト」にのぞむ姿勢の変化の結果として一定の向上が見られるが、真の学力向上とは次元が異なるなど、これ以上莫大な予算と労力をかけて悉皆調査を続ける意味がどこにあるのかという受け止めが関係者に広がっているのが実際です。

中沢教育長のコメント要旨 本県の小中学校生の学力は、国語、算数、数学ともに依然として厳しい状況にある。小学生の平均正答率は全国から1・0%から2・7%低く、中学生は2・8%から7・2%低い状況。

しかし中学校では国語、数学ともに全国との差が徐々に縮まっており、昨年度から実施している中学校の学力向上対策の成果のあらわれと評価できる。一方、小学校では国語は全国と同程度の平均正答率であったものの、算数では全国との差が開いており、原因を詳細に分析したうえで、単元テスト活用など学習内容をより確実に定着させるための具体的な手立てを講じなければならない。中学校ではこれまでの手立てを確実に履行するとともに、小学校においては一層の課題意識をもって学校をあげて取り組みを強化することが求められる。

学力向上への近道はなく、コツコツと日々やるべきことを徹底して実行する。凡事徹底、凡事一流、継続は力という言葉で表現しているが、こうしたことを実行するのが大切だ。今回の結果を踏まえ個々の方策の有効性を精査し、取り組みの徹底と質的向上を図りながら、継続徹底していく。各市町村や学校でも結果を速やかに分析し、課題把握と解決に向けた具体的な改善策を実行できるよう指導助言していく。

記者とのやりとり
 
 ―中学校の家庭学習が全国平均に近づいたが。

中沢 高知市の取り組みが今年4月から。始まって10日くらいたったところで調査をやっている。高知市の取り組みがデータに反映し、教員の努力があらわれているが、まだこれから。中学校では今の取り組みを努力して続ければ、もっと全国平均に近づいていくと確信している。学校現場がよく頑張り始めた。先生の努力に敬意を表したい。小学校は正直少し残念。期待値よりは低かった。

―2011年までに全国水準まで引きあげる目標は変わらないのか。

中沢 私の任期4年間の取り組みで全国水準まで持っていくという「緊急プラン」の目標は変わらない。不登校も若干改善されているので、少しずつだが成果としてあらわれつつあるのかなという気がしている。

―今回が最後の悉皆調査になるのではないか。

中沢 県教委としては、できるだけ詳しくデータをとり、適切に対応していくことが必要と考えているので、もしなくなったら何らかのかたちで、やっていかなければならないと考える。

―全国順位は。

中沢 小学校の国語A40位、B33位、平均37位。算数A45位、B43位、平均44位。中学校国語A45位、B45位、平均45位。数学A46位、B46位、平均46位。順位より全国的な「かたまり」の中にいるかどうかのほうが大事だ。(2009年9月6日 高知民報)