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高知市東部地高齢者支援センター |
高知市健康福祉部は来年度からの実施を検討していた「地域高齢者支援センター」(※)の民間委託を当面断念する方針を公表しました。8月20日に開かれた市議会行政改革特別委員会に同部が報告したものですが、この動きは「官から民」、アウトソーシング推進一辺倒ですすんできたこれまでの「行政改革」のあり方に一石を投じるものといえ注目されます。
「地域高齢者支援センター」は、介護予防を重視するため介護保険制度に位置付けられている「地域包括支援センター」を高知市の実情にあわせて具体化したもの。業務内容は保健・福祉・医療の連携、利用者の相談・情報提供、在宅復帰、病院と施設の連携、高齢者虐待に関する相談・通報、成年後見制度、権利擁護に関する総合相談窓口、他の事業者への啓発など多岐にわたり、現在は市直営で運営されています。
同20日の特別委で明神公平・健康福祉部長が行なった報告の要旨は以下。
@高知市医師会、同センター運営協議会において直営堅持の意向が強い、A委託先として想定される高知市社会福祉協議会が受託に難色を示している、B22年度からの委託は見送り23年度以降、改めてセンター配置全般の見直しも含めて検討する。
日本共産党の下本文雄議員は「報告では、まだ委託をあきらめていないようにも聞こえるが、センター業務は虐待の相談など命にかかわる仕事であり、公務が担うべき。これを委託しようとする計画が出てくること自体が不自然」と委託を断念し直営を堅持するよう強く要請。明神部長は「指摘を踏まえて検討していく」と回答しました。
仮にセンター運営を民間委託するならば「請負」となることが想定されますが、「請負」は日常的に市が指揮命令することができず、「丸投げ」にならざるを得ないという縛りがあることも、今回の委託見送りの判断の背景にあります。
ある健康福祉部関係者は「保健師や看護師などの専門スタッフは市から派遣しなければならず、委託による財政的なメリットはほとんどないし、多少あっても介護保険特別会計で処理されるので、市財政に直接関係ない。どうして『行革』の対象になるのか分からない」。別の関係者からは「直営のほうが仕事をやれるという思いは正直ある。委託によるサービス低下が心配だ」という声が聞かれました。
健康福祉部は今後のセンターのあり方について「第五期介護保険事業計画」の策定作業に入る23年度以降、改めて検討するとしていますが、現場の声に耳を傾け、公の責任を明確にして直営堅持の方針に立ち返るべきではないでしょうか。
※地域高齢者支援センター 現在市直営で5センター、1分室。保健師、社会福祉士、主任ケアマネなど21人の正職員を配置。非常勤特別職の介護予防支援員35人を雇用している。(2009年8月30日 高知民報) |