2009年8月23日

「研修」それとも「糾弾会」? 主催者はっきりせず 高知市・解同高知市協

高知市は、8月7日に同市立小高坂市民会館で開かれた岡崎誠也市長をはじめとする幹部165人が参加した「人権・確認学習会」について、当初の「市主催の研修としての確認学習会」(同7日、岡崎市長のコメント)から、「学習会や研修会というようなものではなかった」という認識に変化するなど混迷が広がっています。 

これは日本共産党の下元博司・高知市議が学習会の内容を把握するため市側に「市主催の研修や学習会であるならば、学習の内容を記録した音声や市幹部の参加者名簿を提出してほしい」と要請したところ、総合政策課が「名簿は提供するが、実際には市主催の学習会といえるようなものではなく、双方(高知市と部落解放同盟高知市協)の意見交換の場。高知市の判断だけで音声を出すわけにはいかない。議事の内容が分かる記録は後日提供する。これは市としての決定だ」と8月14日に回答したことから明らかになったもの。同課は「市協がOKなら音声を出すのか」という取材に「市協に相談はしない」とコメントしています。

岡崎市長は8月3日の庁議で「市役所内部で差別事象が発生した(8月16日号で既報)ので早急に人権施策推進本部主催で課長職を対象にした研修を行なう」と発言。翌4日には「人権擁護学習会を7日、森田益子氏を講師に開催する」という文書を市長名で出しています。

ところが5日には名称を「人権・確認学習会」に訂正する旨の文書が流され、6日には「この学習会には課長や所属長は職務として参加するよう」に求める文書が再度出されるなど、右往左往している様子がみてとれます。

市役所の幹部を総動員する大規模な「研修」をわずか数日前に決定していることだけでも、常軌を逸した対応であることは明らかですが、これらの経過を見れば、市が主催するという体裁を一応とっているようにも見えます。

しかし司会、議題設定、タイムスケジュールはすべて解同主導。終了時間も市側が想定していた時刻を30分間超過し、「これは研修ではない。糾弾会だ」という竹内千賀子議長(高知市議会議員)の発言にも市側から何の反論もないなど、実態的には解同主催の「糾弾会」そのものでした。

行政と運動団体の癒着による同和行政の歪みへの反省を踏まえ、行政に主体性が求められること当然であり、特定団体・特定議員の言いなりになることは許されず、市としても「市主催の研修会」という建前は崩せないはず。ところが市主催であれば、市議に「研修」の記録や音声を提供することを拒むことが難しくなることから、「当初は市主催の学習会のつもりだったが、実際にはそうではなかった」などという理由にならない自己矛盾に満ちた言い方をしていると思われます。

主催者が高知市なのか解同市協なのかさえ明確にならないあいまいさ。このような「学習会」に165人もの市幹部を勤務時間中に総動員する体質に岡崎市政の弱点が顕著にあらわれています。(2009年8月23日 高知民報)