2009年8月9日

高知市 交付税が13億円増額 根拠失う「財源不足」
春野地区での説明会(7月29日)
高知市はこのほど平成21年度分として国から交付される地方交付税が、市側が見込んでいた見積り額より約13億円増加する見込みであることを明らかにしました。これにより岡崎誠也市長を先頭に「財政再建」を目的にして実施しようとしている固定資産税率引き上げとゴミ有料化の論拠がますます薄弱になり、「市民負担なしの財政再建」の説得力が増す状況になっています。

同市財務部の説明によると高知市が21年度予算で想定していた交付税額は269億円でしたが、生活保護費、社会福祉費、保健衛生費が約14億円増加しました。これは全国市長会が求めてきた生活保護費や児童扶養手当費が実際よりも少額しか交付されない実態とのかい離是正を国が認めて実態に沿う交付額へと増額したことによるもの。国保会計への繰り出し増加など若干の減額要素もあり実質の増加額は約13億円となります。

一方で、岡崎市長が市民に負担を求めようとしている固定資産増税とゴミ有料化の「根拠」とされている財源不足額は、平成25年度までの4年間で70億円程度。7月27日に三菱重工と和解した清掃工場の談合解決金24億円という「臨時収入」に加え、今回の交付税増額は今後も継続されることが見込まれることから、市民に負担を求める前提となる条件が、説明会(5月1日から7月29日まで)の間に次々と変化し、まったく異なってきているのが現実です。市財務部は「交付税が単純に今後も増加すると楽観的な考え方をすることはできない。市税の減収も考えられる」(上田隆司・財務部長)と予防線を張ることに懸命。

岡崎市長は7月29日、28カ所で開いた説明会の最後となった旧春野町での説明会終了後に取材に答え「市民負担を求める根拠がなくなったのではないか」という質問に対し、「今年は伸びたが、今後どうなるかは次期政権とからむので楽観できない。生活保護費などの増額は見込めるとしても、臨時交付金なども含め、次期政権の地方財政計画を見ずに判断するのは危ない。9月議会の委員会で方向性を示し、12月議会で最終的に判断する」とコメントしました。(2009年8月9日 高知民報)