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早明浦ダム堰堤下流の直轄区域は一部しかない |
尾崎知事は早明浦ダム下流の土佐町・本山町・大豊町が強く求めている吉野川の国直轄管理化の「代案」として国土交通省が提示している「新吉野川プロジェクト」を高く評価し、実現を求めていく立場を明らかにしました。7月31日に高知市内で開かれた県下の町村長との意見交換会の中の発言で明らかにしたもの。しかし早明浦ダム下流の各町からは「新吉野川プロジェクトの濁水対策は期待できない。知事は現状を分かっていない」という声が出ています。
尾崎知事は、国交省内で検討されている新プロジェクトを直轄化はしないものの、実質的には直轄以上の対策を講じるものであり「国は努力している」と高く評価。地元町村の反対により事業が採択されないことを懸念して「直轄化は手段だ。ものにしていくことが最も実がある対応」と強調しました。
これに対し西村卓士・土佐町長は「一級河川であるなら一体的に国が直轄管理すべきだが、国交省の吉野川整備計画には一字一句触れられていない。将来的に直轄化を検討するくらいのことは書いてもらいたい」と反発。
嶺北地域のある自治体幹部は知事発言について「濁水対策はまったく考慮されておらず、話にならない。未利用水を利用した渇水対策まで出てきているが、ダムから流す水量を減らすということであり、ますます河川環境が悪くなる。断じて容認できない。上流無視の考え方。知事は評価しすぎ。渇水対策など利水地域優先の考え方だ」と話しました。
■尾崎知事の発言要旨
「新吉野川プロジェクト」は濁水対策にダイレクトに踏み込んでいこうとするものもあり、地蔵寺川にも対応すると明記してある。まだ国交省の中でまとめただけで、これを予算編成の中で実現させなければならない。そのためには県も市町村も団結して、国会とも団結して、財政当局にたたかいを挑んでものにしなければいけない。
直轄化は引き続き求めていかなければならないが、直轄化を強く求めてきたひとつの回答として、直轄化がなかなか難しい情勢の中で、直轄化ではないけれども新プロジェクトを出してきた。「直轄化をしないから評価しない」では国も立つ瀬がない。まずは新プロジェクトをしっかり応援する。
直轄化の先に効果のある濁水対策があるのか。直轄化すれば特効薬があるのか、特効薬はあるが金がないからできないのか。実際には直轄化しようがすまいが、対応策が難しい中で、国はできるかぎり考えられる対応策を盛り込んでいる。
直轄化して前が開けるなら徹底的に申し入れていくが、国も一生懸命努力している。財政当局を組み伏せてプロジェクトを実現させなけれなならない。地元から「不十分だという声が上がっている」となった瞬間、査定では「ダメですね」となる。プロジェクトを応援していくことが、実質的対策を前にすすめるために必要だ。
直轄化を今やると袋叩きにあう中で、形式は直轄化でなくても、事実上それ以上のことをしめすためにこれだけ(400〜500億円)のものを出している。直轄化は目的なのか手段なのか。目的は吉野川の対策をすすめることだ。直轄化の旗を降ろしてはいけないが、ものにしてもらうよう働きかけるのが、最も実のある対応。(2009年8月9日 高知民報) |