 ２００９年８月２日 |
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| コラム アンテナ「鬼畜米英」の亡霊 田母神講演会 |
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入場者には産経新聞の見本紙や同社の名前の入ったボールペン、「日本会議」のチラシが配布され、講演会が両団体と密接な関係を持って取り組まれていることが読み取れる。 「君が代」斉唱に続き、開会あいさつをしたのは自民党・西森潮三県議。西森議員は県日韓親善協会や県日韓友好促進議員連盟の役員を務めるなど自他共に認める「韓国通」であるが、日本の朝鮮半島の植民地支配を「学校をつくり現地人の教育に力を入れた。道路、発電所、水道など生活のインフラも数多く残している」と正当化する田母神氏を迎えることに矛盾を感じないのだろうか。 田母神氏の話は２時間をこえた。内容は改めて書くまでもなく、解任の発端になった「論文」をなぞるものだったが、「危険人物の田母神です」、「たたかれまくってこんなに背が小さくなった」と切り出し、「日本の国をいい国だと書いたら公職を追われた」とぺラペラよくしゃべった。いかにも軽い人物だったが、発言のいくつかを紹介しておく。 「歴史認識を発言するたび韓国・中国が騒いで大臣がクビになる。事なかれ主義が蔓延して政府は中国やアメリカが嫌がることは絶対言わない」 「アメリカが日本を助けるとは限らない。自分の国を自分で守れる体制を。反日の韓国・中国が軍拡している。日本が経済力に応じた軍事力を持つことが抑止力になる」 「沖縄の米軍は撤退させるべき。基地の従業員の賃金は１００％日本政府が払っている。広大な基地の使用料も無料。アメリカのほうが大きな利益を得ている。日本を守るとごまかされている」 「盧溝橋事件は嘘。やむを得ずひきこまれた。どこが侵略か。南京大虐殺も嘘。コミンテルンのスパイが日本が絶対飲めないハルノートを書いて日本に先制攻撃させた。飲んでいれば日本は白人国家の植民地に。日本が戦った結果、人種平等の世界が早まった」 「自前の核兵器を持たないと国際社会で発言力を確保できない」 「東京裁判史観」を徹底的に拒否し、核武装まで主張する恐るべき極右。その矛先は中国・韓国だけでなく、アメリカ＝「白人国家」に向き、まるで鬼畜米英の亡霊のごとき。米日支配層の許容範囲を完全に超えており、間髪入れず航空幕僚長の解任に至った理由がよく理解できたが、右派内の親米派と反米派の亀裂が読み取れて興味深い。 強い憤りを感じたのはクーデターのくだり。その気になればミサイルを撃ち込み、空爆さえ可能な強大な武力を委ねられていた人物の言葉とは思えず愕然とした。「クーデタなどおこるはずがない。２・２６事件の時には餓死する人がいたが、今の日本は戦後最大の不況と言うが餓死する人など一人もいない。みんなメタボ。こんなときにクーデーターがおきるわけがない。自衛官も忙しいからやってる暇はない。ゴルフにもいけない。大吟醸も飲めなくなる」と笑いを誘う。この軽薄さは何なのか。この程度の人物がつい先日まで航空自衛隊トップであったことに鳥肌が立つ思いがした。（Ｎ）（２００９年８月２日） |
