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左上から春名なおあき、福井照、桃田妙子、田村久美子の各候補(敬称略) |
8月30日に投票される衆議院選挙高知1区に立候補を予定している各党候補が一堂に会する「未来の高知を語る公開討論会」が7月22日、高知市の文化プラザ・かるぽーとで開かれ、各候補者が選挙戦にのぞむ政策を披歴しました(文中敬称略)。
参加したのは民主党・田村久美子、日本共産党・春名なおあき、自民党・福井照、幸福実現党・桃田妙子。無所属の橋本大二郎は欠席しました。
今回の衆院選についての位置付けについて「政権選択、官僚主導の政治を国民の手に」(民主・田村)、「自公政治を終わらせる選挙。共産を伸びることが確かな審判」(共産・春名)、「世界大恐慌から80年、自民党は社会保障を作ってきた。農耕民族という日本人の本質に戻る転機」(自民・福井)、「今の政治を見ていられない。迫り来る北朝鮮の危機。傍観者でいられない。政権交代というが、日本の未来ビジョンの選択だ」(幸福・桃田)
討論のテーマは@景気回復、A社会保障、B道州制、C官民協働型社会について。その中で@とAについての各候補の発言をダイジェストで紹介します。
■景気回復
春名 高知県経済は深刻。原因は自民党の輸出型大企業優先、暮らしをないがしろの政治。若者の半分が非正規。製造業だけで120兆円もの内部留保があるのに雇用を守らない。日本経済の55%を占める家計消費をあたためないと景気は回復しない。「三位一体改革」で高知県は400億円交付税が減額、生活に必要な事業もできない。公共工事はピーク時の4割。社会保障、地方切り捨ての震源地は財界。献金をもらわず大企業にものを言わないと経済はただせない。
田村 国民の生活が良くなれば経済がよくなる。2年間で21兆円の財政を出動し、家庭で使える金を増やす。それが月額26000円の子供手当て、高校授業料の無料化だ。高速道路は営業車も無料にする。
福井 青森のリンゴが1個2000円で上海で売れている。鳥取のスイカがドバイで1個38000円。日本の農産物は人気がある。沢山つくりブランド力をつけ、海外で販売する戦略を立てる。公共事業で観光地をつくる。高知はユーラシア・プレートの端の地形が特徴なので、ここに世界から客を呼び込む。国内相手だけではダメ。
桃田 消費税・相続税、贈与税の廃止。農業の規制緩和。民間が参入をしやすくする。交通革命で高知にリニアを。
春名 国の中小企業対策費は年間1890億。1社あたり4万円。これを最低1兆円に。農業はいつやめるかという深刻な状況だ。(福井は)農業の現状を見ていない。価格保証所得保障で経営を安定させ、農産物の自由化をストップ。介護・医療・福祉もは産業政策としても重要だ。
田村 国が押し付けた土木型箱物行政で借金を増やした。国に金を求めるやり方から国と地方を対等にして地方分権すすめる。自治体が独自色を持ち自立できるように。
福井 NHKドラマの舞台になっている川越市の古い町並みは公共事業でやった。首里城、ダイヤモンドヘッドも公共事業でつくった。四国八十八箇所を整備してアジアの世界遺産にする。
桃田 民主党はバラマキ予算。子供手当を増やしても扶養控除がなくなり増税。18兆円ばら撒いても、税収が減っており、やがて増税になる。
■社会保障
桃田 人口増加。2030年に3億人国家に。年金財政の説明責任を果たさせる。福祉を法で規定した一律の制度でなく、現場に責任もたせて規制緩和する。
福井 アメリカには国民皆保険がない。日本は皆保険が当たり前。日本は世界一の福祉国家を5%の消費税でまかなっているのがすごい。一番の危機は少子化。自公政権は補正予算から人生前半の社会保障をやるように変わった。
田村 小泉政権以後、社会保障ひどい。後期高齢者医療制度、障害者自立支援法も年金も採算性が優先されている。財源問題。予算の中にムダ使いがあるはず。必ず財源は出てくる。
春名 わずかな年金から介護保険料と後期高齢者医療費を差し引かれたら生活できない。障害者自立支援法で作業所にもいけない。多くの県民が苦しんでいる。後期高齢者医療制度を廃止し、75歳以上の医療費は原則無料にする。財源だが、消費税は弱い人に負担が重い。食料品非課税にする。大企業の行過ぎた減税をもとに戻し、軍事費を削減し、米軍への思いやり予算は廃止する。
福井 社会保障は「社会」が保障すべきだが、国に丸投げするようになった。日本を大家族に戻すには役人は「年金をなくせばよい」と。本来日本人が持っていた大家族、地域コミュニティを復活させるべきだ。
解説 この日の討論会で最も印象深かったのが自民党の福井氏。観光地を公共事業でつくり、農産物を外国に売ることが高知の景気回復への道、日本の社会保障は世界一だが国依存ではなく家族や地域という「社会」が担うべきと述べるなど、放言のレベルの発言に終始しました。
幸福実現党は人口3億人、第二国土軸にリニア、消費税と相続税全廃を主張。「九条改正して北朝鮮・中国に先制攻撃」をなど。議論の座標を右へずらせて、まじめな論争を遠ざける役割を演じています。民主党はあいかわらず財源が弱点。田村氏は「予算のどこかに無駄遣いがあるはず」、「国の補助金を廃止し一括交付金化」。子供手当と扶養控除廃止の増税が抱き合わせになっていること、一括交付金化するという補助金は義務教育や生活保護費など削れないものばかりであり、廃止は地方切り捨てだという批判に対しても特段の反論はなし。
日本共産党の春名氏は国民が普通に生活していくためのルールある社会、軍事同盟から抜け出し憲法9条を守る国づくりをめざすことを強調しました。橋本大二郎氏は討論会を欠席。理由については「準備する時間がないし、昨年の討論会と同じ内容しか話すことはない」とコメントしています。(2009年8月2日 高知民報) |